企業やブランドがユーザーとコミュニケーションするとき、誰に何を伝えたいのかを整理し、一貫したメッセージを届けることが重要です。しかし、現実にはユーザーとのタッチポイントは数多く、マスとデジタル、オンラインとオフラインなどこれまで別の世界のように捉えられていた領域の境界も曖昧になっています。
ユーザーや顧客を基点に届けるべきメッセージを統一し、最適なコミュニケーションをするにはどうすればいいのでしょうか。そのための考え方が、統合マーケティングと呼ばれています。
MarkeZine編集部が毎月お届けしている定期誌『MarkeZine』では、最新号となる第48号で特集として「空想を現実にする、統合マーケティング」を取り上げました。ライオン、日産自動車、スマートニュースのキーパーソンに、現在取り組んでいる統合マーケティングの最適解、あるいは試行錯誤についてうかがいました。
定期誌『MarkeZine』とは?
定期誌『MarkeZine』は1年間の定期購読で、毎月1冊、トレンドテーマの特集を中心にマーケティング業界の潮流や識者が注目するトピックをお届けしています。
- 先進的な企業の経営判断を追体験できる
- 競合企業の事例やキーパーソンの考え方がわかる
- マーケターが実務で成果を出せるノウハウを学べる
特集「空想を現実にする、統合マーケティング」
ライオンでは2017年9月に宣伝部が再編され、コミュニケーションデザイン部とCXプランニング室が発足しました。顧客体験を最重要視する同社の取り組みは、統合マーケティングの視点から行われています。そこで、同室長の大村和顕氏に、統合マーケティングをどう捉えて実践しているのか尋ねます。
大村氏は統合マーケティングを推進するにあたって大切なこととして、組織の編成と権限の譲渡を挙げています。日本の多くの企業では領域ごとに特化した組織体制になっており、統合の考え方がまだ浸透していないとのこと。だからこそ、マーケティングにおいて予算もプランニングも一括して扱える組織にならないと話してくださいました。
高価な買い物であるために、自動車の購入には長い検討期間を要するのが通常です。日産自動車ではその過程に統合マーケティングを取り入れ、1つの車種でも複数のセグメントでカスタマージャーニーを作成しているそうです。今号では同社の日本マーケティング本部でブランド&メディア戦略部の部長を務める堤雅夫氏に、統合マーケティングの仕組みについて取材しました。
堤氏はまだ道半ばだと話しつつ、他社の真似をしたり遅れていると焦ったりして形だけ統合マーケティングを取り入れるのはナンセンスだと指摘。同社にしても、各タッチポイントのコミュニケーションで非効率な施策や機会損失が生じていたことが見えてきたことから必要性を感じ、取り組み始めたそうです。
スマートニュースが統合マーケティングに取り組み始めたのは2017年夏頃。デジタル広告を中心にユーザー獲得を進めていたものの、成長が鈍化していたのがきっかけです。満足度や継続率は高くても、新規ユーザーの獲得ができていなかったことがわかったそうです。同社の山崎佑介氏によると、そこで認知拡大のためテレビCMに注力し始めたとのこと。
デジタル広告とマス広告に平行して取り組む場合に重要なことは、全媒体で結果の指標を統一すること。同社ではCPI(Cost Per Install)を用い、わかりづらいと言われるテレビ広告の効果を測定を行いました。また、おもしろいだけの広告ではなく、サービスのベネフィットを広告にするこだわりも。スマートニュースの近年の躍進に見れば、統合マーケティングが功を奏したのは間違いありません。
定期誌『MarkeZine』第48号では、この他にも巻頭インタビューにてソニー銀行のルゾンカ典子氏が登場。データサイエンスとビジネスをつなぐデータドリブン経営の取り組みについてうかがいます。
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