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イベントレポート

データに対する過度な期待、不安の正体/メディア×広告主のあるべき姿【デジマ下剋上vol.5レポート】

メディアに求められる強みとは?

 続いて、澤田氏は「広告主と直接コミュニケーションが取れるとしたら、何を話したいか」という質問を投げかけた。これに対して田中氏は「impやクリック、CPAなどではないところの強みをお話ししたい」と語った。

dely ビジネスソリューション事業部長 田中ジミー基樹氏
dely ビジネスソリューション事業部長 田中ジミー基樹氏

 「クラシルの場合、スーパーでアプリが開かれることが多く、購買リフトやPOSデータを見ると『売上が上がっている』と評価いただけることが多い。でも、エクセルに載っている指標には反映されません。CPCやCPA、リーチ単価で勝負していたら、プラットフォーマーの広告には太刀打ちできないし、先細りしていくのは目に見えている。そこを打開する策がメディアには求められていると思います」(田中氏)

 では、メディアは何を強みにすべきなのだろうか。田中氏がメディアが持っているアセットをもとに解説した。

 メディアのマネタイズポイントは「広告」「サブスク・有料会員」「EC」の3つ。PVがあれば、純広告やアドネットワーク、SSPなどから一定の広告収益を得ることができる。しかし、そこに依存するとPVを稼ぐための小手先のテクニックに走ったり、ユーザー想いのコンテンツでなくなったりするケースも出てくる。

 田中氏によれば、「マネタイズをしつつもコンテンツやファンに対してどれだけ投資できるかが、成長させるための肝になる」という。

 これに対し進藤氏は、Rettyの強みを「データビジネスソリューションの提供に注力していること」とした。

 「我々のようなバーティカルメディアの場合、広告を提供するだけだと出稿クライアントに偏りが出てくる。より幅広いクライアントの要望に応えるために、データの活用を推進しています」(進藤氏)

メディア×広告主の新たな取り組みの形

 次に、メディアと広告主の間で行われる新たな取り組みについて紹介された。delyでは、広告主の商品に関連したレシピコンテンツを考案し、それを小売店のデジタルサイネージ上での配信に活用したり、イベントや店舗で実際にメニューとして提供したりするなど、デジタル上のコンテンツをリアルに進出させる動きが進んでいるという。

 たとえば、村上農園との取り組みでは、同社の豆苗を活用したレシピ動画をクラシル上で配信。加えて、店頭の生鮮食品売り場に同社が設置したデジタルサイネージでも2次利用した。その結果、豆苗出荷量は前年比160%と急伸し、レシピ動画再生回数も比例して増加していたという。

 この他にも、日清オイリオグループの「BOSCO」とコラボしたカフェを出店したことが話題となり、メディア露出が実現した事例なども紹介された。田中氏は「デジタルに閉じず、リアルの臨場感を活かすのが重要」と語った。

 一方、Rettyは出光興産の旅行スケジュール作成サイト「ドライブコンサルタント」に「Food Data Platform」を提供した事例を紹介した。

 Food Data Platformは、Rettyが蓄積してきたデータを企業のサービスと連携できるというもの。ドライブコンサルタントと連携することで、旅行スケジュールを作成する際にRettyに登録されている飲食店を選ぶことが可能になった。

 このような取り組みが行われるようになった現在、今後のメディアと広告主はどうすれば良いのか。最後に田中氏と兒嶋氏がセッションをまとめる言葉を述べた。

 「メディアの財産はコンテンツ、ファン、データです。アドテクベンダーや広告代理店の皆さまとPVだけにとらわれない提案ができればと思います」(田中氏)

 「生活者を裏切るようなことをしてはいけない。たとえば、クラシルを見ているときに全然文脈の違う広告が出たら、嫌われてしまう。広告に従事する者として、そのような自体は避けたいので、引き続きこのような議論を続けていきたいです」(兒嶋氏)

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この記事の著者

道上 飛翔(編集部)(ミチカミ ツバサ)

1991年生まれ。法政大学社会学部を2014年に卒業後、インターネット専業広告代理店へ入社し営業業務を行う。アドテクノロジーへの知的好奇心から読んでいたMarkeZineをきっかけに、2015年4月に翔泳社へ入社。7月よりMarkeZine編集部にジョインし、下っ端編集者として日々修業した結果、2020年4月より副...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2019/12/26 09:00 https://markezine.jp/article/detail/32628

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