検索一位の記事同士を日米で戦わせてみた
この差ってWebコンテンツでも同じなのでは? と思い、同一クエリを日米のGoogleで検索し、1位同士を比較しました。選んだクエリは「ランニングシューズ 選び方(How to choose running shoes)」と「採用面接 想定問答( job interview questions)」です(検索結果は記事執筆時点のもの)。有形の消費財と無形のサービス、かつ両国で馴染みのあるモノということで、この2つで試してみました。
まずは「ランニングシューズ 選び方(How to choose running shoes)」から調べてみたところ、結果は質・量共に日本コンテンツの圧勝じゃないかなと。

英語コンテンツの1位は3人の専門家の監修が入っており、価格と性能は比例するのでケチるな、フィッティングが最も重要な要素である、走り方にあったシューズを選ぶべき……というアドバイスが書かれていました。まあ想定の範囲内です。
それ以外の検討要素として、靴底の構成と厚み、カカトとつま先の落差(角度)、回内運動のコントロールにも触れつつ、最終的には自分の感性を大事にね! という結論でした。バランスは取れていて、悪くない記事だと思いました。
一方、日本語の1位を見てみると……。そもそもランニング専用のシューズの必要性はあるのか? というパラグラフから始まっています。そもそも論から始まるのは日本語コンテンツあるあるで、読み手からすればさっさと本題に入れよと感じるかもなので評価は分かれるところでしょう。
そこから先は、最適なランニングシューズを見つける方法、自分の足の形を把握する方法と続き、スクエア型とかエジプト型とかギリシャ型という足の形状に言及し、足のサイズを正しく測る方法、ランニングシューズの種類、タイプ、メーカー、レベル感、走り方の特徴、通販で購入するときのコツ、初心者がランニングシューズ選びでやらかしやすい失敗「3K」について触れ、締めに各メーカーのランニングシューズのサイズチャートを紹介して終わる……という盛りだくさんさ。
「長文だったらいいのか?」とか「いたずらに長いコンテンツはSEO偏重なのではないか?」という議論もあるでしょう。日本人の識字率は世界的に見てもかなり高く、長文記事を読むことに抵抗がない人が多いのに対し、アメリカ人はせっかちで結論を求めたがる……ってお国柄も否めません。だとしても、日本語コンテンツのほうがカバーする領域が広く、シューズ選びに役立つと感じました。私も読んでみて「シューズ選びは奥が深い。参考になるなあ」と感心させられました。
作り込まれた日本の記事
もう一つ、「採用面接 想定問答( job interview questions)」も見てみましょう。こちらはより違い、差がわかりやすい結果に。

英語の1位コンテンツ『How to Answer the 31 Most Common Interview Questions』(The Muse)はこんな感じ。
◇このポジションのことをどうやって知りましたか?
◇我社について何をご存知です?
◇この仕事をしたい理由は?
◇我社があなたを採用すべき理由は?
◇あなたの一番の強みは?
◇あなたの弱点は?
◇これまでの仕事で成し遂げた一番の成功は?
◇仕事で直面したトラブルとどうやって解決したか話してください
◇5年後のご自身はどこで何をしていますか?
31の質問、質問者の意図と模範解答が並んでいるのみ。悪くはないし、検索クエリにはちゃんと答えているので十分に及第点なのですが、日本の1位はさらに上を行っていました。
日本語の1位『面接でよくある質問の回答50例』(マイナビ転職)はかなりの大作で、読者側の意図にバッチリ応えています。
まず【面接開始までの流れを確認(受付・入室マナーなど)】から始まり、その後【面接でよくある質問の回答50例】に移ります。まあ、アメリカの面接で服装、髪型、入室の仕方に言及するわけはないと思うのでそこは差し引くにしても、【面接序盤→中盤→終盤でよく聞かれる質問】といった具合に時間軸で分解するだけでなく、
◇20代や経験が浅い方
◇30代半ば以降のキャリアアップ転職
◇異業種や未経験業界に転職希望の方への面接質問
◇キャリアチェンジ希望の方への面接質問
◇中小企業やベンチャー企業での面接質問
◇仕事にブランクがある方、正社員経験が少ない
◇転職回数が多い方
◇答えにくい質問への切り返し
◇内定を視野に入れた面接質問
◇最終面接での質問
◇面接後の不安を解消(お礼メールは送るべきか)
と、想定できるほぼすべてのパターンとシチュエーションに沿って書かれており、誰が読んでも非常に参考になる記事でした。
たった2つの調査でもって断言はできませんけど、日本のコンテンツ力って相当レベルが高いのです。