認知と獲得の間に生まれた壁
MarkeZine編集部(以下、MZ):まず、お二人の業務内容についてお聞かせいただけますか。
千田:私はSepteni Japan(以下、セプテーニ)で、通販コスメや健康食品など女性向け商材を扱うお客様を担当させていただく営業部にて部長を務めています。これまではダイレクトレスポンスを目的としたインターネット広告の支援が中心でしたが、最近ではデジタルマーケティング全般に携わり支援の範囲を広げています。
伊藤:私はアルファアーキテクトで動画広告事業を手掛けており、VeleTという動画広告ソリューションのプロダクトマネージャーを担っており、2019年6月からは取締役として、プロダクトやメディアなど営業以外の全般を統括しています。
MZ:今、両社のクライアントは動画マーケティングにおいてどのような課題を持たれているのでしょうか。
千田:私たちのお客様はダイレクトレスポンスを目的とした広告出稿が多いので、CPAをKPIとしている案件が大半です。しかしここ数年、CPAの高騰と配信ボリュームのベースが上がらない、ということが課題になっています。
この課題に対応するため刈り取り型の広告だけではなく、ミドルファネルやアッパーファネルのユーザー層へのアプローチの必要性が高まっています。デジタル広告の最適化は非常に優秀です。それゆえに、KPIをCPAなどいわゆるダイレクト領域に置いてしまうことで、本来もっと幅広い方に興味を持ってもらえる価値・可能性がある商材にもかかわらず、ロウワーファネルのユーザー層を中心に最適化されてしまい、狭い範囲へのアプローチになってしまっているケースをよく見かけます。
伊藤:ファネルに関する課題は、多くの企業様が感じていらっしゃいます。ここには、社内体制として認知と獲得の担当部署が完全に分かれ、それぞれで最適化を進めてしまい、サイロ化しているという背景もあります。
本来であればコミュニケーション戦略の部分からシナジーを意識すればより効果の高いマーケティング効果を得られる可能性があるにも関わらず、です。
VeleTはそのような課題・背景に対し、分断してしまった認知と獲得のファネルの間にあるミドルファネル、つまり興味・関心を高めたり商品理解を深めたりする役割を担うサービスを目指しています。
ブランドリフトだけでは測れない本当の効果
MZ:セプテーニではどういったクライアントに対し、VeleTの導入を積極的に勧めているのでしょうか。
千田:伊藤さんがおっしゃっていたような、認知と獲得といった目的別で担当部署が分かれている企業様が多いですね。ちょうどあるお客様から「認知から獲得までを連携する施策ができないか」という相談を頂いたので、VeleTを活用したご提案をいたしました。
通常の動画広告配信では、配信メディアを通したブランドリフト調査による広告やブランドの認知度の計測が中心となり、結果ビジネスにどこまで貢献したのか測定することは簡単ではありませんでした。
一方VeleTでは、定性・定量の調査を行い、分析結果からクリエイティブのPDCAを回してくという強みがあったので、明確な効果の視覚化と効果的な動画広告の運用ができると思っていました。
MZ:VeleTの定量・定性調査では、どのようなことがわかるのでしょうか。
伊藤:広告をたくさん投下すれば、ブランドリフトが発生することは、ある意味あたり前のことでして、もう少し気をつけて測らないといけないのは、動画広告がユーザーにポジティブ・ネガティブどちらの印象を与えたのかということです。
たいていの動画メディアでは、「広告を見たか?」「ブランド・企業を認知しているか?」しか調査しませんが、その広告がきちんとユーザーに好意的に受け取られたか、伝えたいメッセージが意図通り伝わっているかを調査することが大切です。
また定量面に関しては、動画広告がクライアントの目指す効果にどれだけ寄与できたかを明らかにすべく、我々は動画接触者のアトリビューション分析で効果の見える化を行っています。