オンラインとオフラインの垣根をなくす(コメ兵)
2019年を振り返って
小売業、特にリアル店舗でのテクノロジー活用が進んだ年だったと感じます。デジタルを利用したリアルのマーケティングが可能となり、顧客体験をテーマとしたソリューションや取り組みが増えてきています。背景には、顧客の様々な行動データが取得できるようになったことに加えて、それらが統合でき、活用できる環境が整ってきたということがあります。ただし、忘れてはいけないのは、顧客のデータというのは顧客の物であって、顧客にとって有益なことに使わなければならないということ。今、企業には倫理観が問われているのではないでしょうか。
2020年へ向けて
今以上に、顧客との関係性を深めていく年にしたいと考えています。そのために、オンラインとオフラインの垣根をさらになくしていきます。特に顧客の動きに合わせて、ECとリアル店舗をつないでいき、来店前、来店中、来店後も顧客にとって良い買物体験(当社の場合、買取の体験も)を提供していきたいです。

執行役員 マーケティング統括部長 藤原義昭氏
1999年コメ兵入社。ジュエリー部門の鑑定査定業務を経て、Eコマースを立ち上げ。その後デジタルマーケティング、Eコマース事業を行うWEB事業部新設時責任者として赴任、情報システム部門を部門傘下に置き、全社のITとデジタルを率いる。現在は全社マーケティング担当統括者として、リアル店舗とEコマース両方をつなげるオムニチャネル戦略を推進しながら、全社の事業推進を裏方として支えている。
HowよりWhyやWhatを大事にする(サイボウズ)
2019年を振り返って
印象的だったのは「オウンドメディアは終わった」という議論。施策は目的ではなく手段なので、自社事業の置かれたポジション、フェーズなどを踏まえての議論が抜け落ちているなと感じています。人間という存在はいつの世も変わるものではないため、HowよりWhyやWhatを大事にする姿勢を忘れずに、発信を行っていきたいと思います。サイボウズでは広告「ざんねんな情報共有ずかん(Garoon)」「まとまると強い(kintone)」の反響も大きく、広告賞もいただきました。法人向けマーケティングはかくあるべきと決めつけずに、ターゲット層の気持ちに寄り添ったクリエイティブこそが、手段よりも重要と改めて感じました。
2020年へ向けて
単なる機能比較ではなく、サイボウズのミッションに共感して、製品を導入・活用いただけるお客さまを増やしていきたいです。そのために、プロダクトのコアバリューの言語化を進めていきます。また日本市場で成果を出した取り組みを、グローバル市場へ広げていきます。US、中国、APAC各国でサイボウズのビジョンやkintoneのコンセプトをいかに伝えていくか。Webサイト、広告、PR、イベント、コミュニティ、SNSなどの手法を各国の状況に合わせて、日本本社から推進していきます。

コーポレートブランディング部長 大槻幸夫氏
2000年に大学卒業後、知人とレスキューナウ・ドット・ネットを創業。2005年にサイボウズに転職。以降マーケティング領域に従事。2012年5月、オウンドメディア「サイボウズ式」をスタート。初代編集長を務める。2014年12月、ワーママムービー「大丈夫」を発表。160万再生となり話題を集める。2015年2月より現職。2019年11月、出版事業「サイボウズ式ブックス」を創刊し編集長に。
「香りの可視化」に挑戦(ザ・ボディショップ)
2019年を振り返って
従来デジタルはお客様に買い物とは別の行動をしていただき(アプリインストールやQRコード読み取りなど)、利便性を上げるために使われることがほとんどでしたが、渋谷パルコ・トライアルのスマートストアなど商業施設や店舗がデジタルを備えることにより、購買行動の中でより自然にデジタルが使われるようになりました。当社においては公式アプリのリニューアルをはじめとし、各ソリューションのリプレイスや新規導入を進め、今後デジタルを活用しブランド体験にさらなる価値を加え届けるための土台作りを行うことができた年となりました。
2020年へ向けて
ECにおいては「香りの可視化」など、顕在化している不満や購買前の不安の解消を行っていきます。今まで不可能と思われていた課題もテクノロジーの進化で解決できる事柄も多いです。これはECだけでなく、オフラインも同様です。ただしシステムが複雑になるほどリスクは高くなり動きも重くなるので、課題をしっかりと認識した上で、設計することがより重要になってくると感じています。プロダクトや店舗はもちろん、ブランド理念、ブランドを愛してくれるお客様とのつながりすべてがブランド体験であるため、デジタルの力を使い、ザ・ボディショップにもっと触れ、深くつながりたいと感じていただける年にしたいです。

営業本部デジタルセールス部リーダー 斉藤正賢氏
2010年、自社ECサイト立ち上げを機にEC運営に携わるようになる。公式SNS、LINE@など様々なサービスの立ち上げ、受注管理システム導入などを主導で進める。商品導入の商談から受注対応、出荷業務、広告運用までEC運営に必要な幅広い業務を担当。2018年より現職。イオンフォレスト(ザ・ボディショップ)にてEC運営、オムニチャネル推進・アプリ開発などデジタル分野に広く携わっている。