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実践!マーケティングアカデミー

未来を生きる当事者=若者の声をどう事業に取り入れる?

一般公募にすることで、社会課題を考えるきっかけを提供

――なるほど。では、一般公募したのは何か意図があったのでしょうか。

 世の中に、「ユーグレナ社が未来のために何をしているのか」を知ってほしかったという理由が第一にあります。当社は上場したといってもまだ数百億円程度の売上で、しかもまだまだ若い会社。ものすごく企業体力があるとは言えないけど、未来を変えるためにいろいろチャレンジしています。

 このような会社があることを、少しでも世の中に知ってもらい、願わくば社会課題を考えるきっかけを提供したい。そんな想いから、新聞広告を使っての一般公募の実施に至りました。

――募集には、どの程度反響があったのでしょうか?

 511名から応募がきました。応募者には「SDGsに対する自分の考えや、ユーグレナ社で何がやりたいのか1,200文字以内で教えてください」という内容の課題を出していました。結構難易度が高いと思うのですが、そこをクリアしてくる学生が500名以上も集まるとはまったく思っていませんでした。シンプルに驚いたし、嬉しかったですね。

――初代CFOに就任された小澤杏子さんは、どのような方なのでしょうか。

 都内のスーパーサイエンスハイスクール(文部科学省が指定した、科学技術や理科・数学教育を重点的に行う高校)に通っていて、科学的な側面から社会問題にアプローチしている方です。だからこそ、雰囲気ではなくエビデンスを持って社会問題を語れるところが素晴らしいと思いました。問題意識の高さはもちろん、行動力がある点も評価したポイントですね。

――CFOの募集とあわせて、「サミットメンバー」も募集されていましたよね。サミットメンバーはどのような役割を担うのでしょうか。

 CFOが未来を考える責任者で、サミットメンバーはCFOと一緒に考える仲間です。サミットメンバーは8名ですが、みんな出自はバラバラです。インターナショナルスクールに通っている子だったり、福岡在住の11歳の小学生だったり。多様な子たちが集まってはいるけど、環境に対して明確な問題意識を持っている点は共通しています。

永田暁彦氏(左)、初代CFO 小澤杏子さん(中)、ユーグレナ社 社長 出雲充氏(右)
永田暁彦氏(左)、初代CFO 小澤杏子さん(中)、ユーグレナ社 社長 出雲充氏(右)

未来のために行動する人々が批判されない社会を目指して

――CFOは、1年の任期期間中に何を行う予定でしょうか。

 2030年に向けた当社のSDGs(持続可能な開発目標)に関するアクションや、達成目標の策定、サミットの運営を任せる予定です。

 CFOには、解決したい社会課題に対し、ユーグレナ社が何をできるのかを提案してもらい、具体策に落とし込んでもらいます。また当社の定時株主総会や環境関連イベントなどに参加し、ユーグレナ社のCFOとして、取り組み内容をプレゼンする役割も担ってもらう予定です。CFOを支えるサミットメンバーも、イベントに参加してもらったり、話し合いに参加してもらったりしています。地方のメンバーはオンラインで参加してもらっていますね。

――ユーグレナ社としてCFOの活動を通して、社会にどのような影響を与えたいですか。

 CFOに就任した小澤さんやサミットメンバーのような声をあげる若い人たちが、批判されない社会を築きたいです。世の中には声をあげる人を批判する人がいます。そんな人が減って、社会のために声をあげて戦おうとしている人たちが当たり前に共感される社会に変わればいいなと。

 ただ、人々の価値観は1年やそこらで変わるはずがないので、今のメンバーたちの任期中に大きな変化を起こそうとは考えていません。みんなが成人し、社会に出る頃に、何かしらの変化が起きている状態を目指しています。

――今回の取り組みで、少しでも興味を持つ人が増えて、行動を起こす人や企業が増えるといいですね。

 日本には、社会に対して興味のない人が驚くほど多い。今回のCFO募集は、そのアンチテーゼでもあります。彼らの活動を見た大人が、何もしていない自分たちのことを恥ずかしいと感じてもらえるぐらいの取り組みにしたいですね。

今回のポイントは……
  • “未来の当事者”たちに議論に参加してもらうため、18歳以下の「CFO(最高未来責任者)」を新設。
  • 社会課題を考えるきっかけを提供するため、一般募集を実施。総勢511名の応募者が集まった。

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この記事の著者

水落 絵理香(ミズオチ エリカ)

フリーライター。CMSの新規営業、マーケティング系メディアのライター・編集を経て独立。関心領域はWebマーケティング、サイバーセキュリティ、AI・VR・ARなどの最新テクノロジー。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2020/01/24 15:00 https://markezine.jp/article/detail/32776

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