SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

直近開催のイベントはこちら!

MarkeZine Day 2025 Retail

リクルートメント・マーケティング 採用活動をマーケティングでハックせよ

NetflixとWantedlyが語る、「条件よりも共感」の新時代採用ブランディング戦略

次なる波はポッドキャスト? Netflixのマルチチャネル戦略

仲:Netflixの場合、採用コンテンツをマルチチャネル的に出し分けているのが特徴ですが、各チャネルでのコミュニケーション戦略に違いはあるのでしょうか?

徳本:たとえばLinkedInのようなビジネスSNSは自社の文化や哲学、ビジネスにおける主要なアップデートなどをプロフェッショナルに語るのに適しています。日本ではWantedlyが人気ですよね。採用ブランドの発信拠点として行き着くところはこうしたビジネスSNSなのかもしれませんね。

 その一方で、世界的に見てもTwitter(@WeAreNetflix)はより広範なエンゲージメントを獲得するのに適したプラットフォームです。求人情報がシェアされることもありますが、その他に仕事についてのユーザーの質問に直接答える場にもなりますね。Instagramはご存知の通りビジュアル要素の強いSNSですから、写真や動画クリップを投稿したいのであれば自ずと活用することになるでしょう。他にも、ストーリー機能でイベントのレポートをすることもあります。このように、それぞれのチャネルの特性やオーディエンスの特徴を駆使して最終的なゴールを目指しています。

仲:採用に特化したYouTubeチャンネルやポッドキャスト配信でも先駆的な取り組みをされていますね。

徳本:動画は信頼性の高い表現フォーマットですので、YouTubeでの動画配信にはずっと力をいれています。私たちのチャネルに訪れたユーザーにはNetflixのワークカルチャーに飛び込むような体験を提供したいと思っていますし、そうすることで私たちの発信するカルチャーにより多くの文脈を与えることができますから。

Netflixの「自由と責任の文化」について社員自ら語る動画

徳本:そして触れていただいた通り、私たち独自のチャレンジとして採用ポッドキャストにも力をいれています。1ページのブログや2~3分の動画では表面的な内容しか伝わらないとしても、2人の従業員が私たちの会社について45分間語り合う音声を聞けば、そのポジションに関心のある視聴者はより深い理解へと導かれるはずです。それに、動画に比べて制作コストがかからないというメリットもあります。

仲:それぞれのチャネルによって最適な体験の形があるということですね。

徳本:はい。さらに言えば、チャネルによってオーディエンスとなり得る職種にも微妙な違いがあります。エンジニアの反応が最も多いのはTwitter、マーケティングやクリエイティブ職種はInstagram、制作部門はFacebookといった具合です。

リクルートメント・マーケティングを企業経営の礎に

仲:お話を伺っていると、いよいよ採用はマーケティングに近づいてきているという確信を得ることができますね。そうなるとこれまでと同じ指標で採用成果を追うわけにはいかなくなると思いますが、We Are Netflixの取り組みはどのような指標で追っているのでしょうか。

徳本:We Are Netflixがユニークなのは、採用以上に企業としてのブランディングに大きく関係するところかと思います。

 一般的にマーケティングの観点から見れば、このような取り組みを評価するためにチャネルの登録数やエンゲージメント率、インプレッション数などを追うでしょう。ただ、Netflixでの評価軸は、定量的な指標以上に「採用ターゲットに近い人がフォローしてくれているか?」「ポジティブな認知をもたらし、採用につながるような変化を起こせているか?」といった定性的な判断軸での見極めが大切だと感じています。そういう意味では、各チャネル上でのエンゲージメントの質や、採用候補者とのマッチが高ければ高いほど、取り組みは評価できると思います。

仲:量から質への転換ですね。かつてのように母集団をかき集めることができない以上、採用におけるマッチ精度を上げるのは企業にとって合理的な選択だと思います。さらには先ほど「条件」よりも「共感」を優先するというお話があった通り、採用をめぐるオファー競争が苛烈化する今の時代、事業ミッションやカルチャーといった企業のDNAとなる部分で採用競合企業と自社とを差別化しなければ選ばれることが難しい。

 一方で、自社の発信したコンテンツに共感してくれた人を採用できれば、カルチャーフィットがスムーズになりますし、同じゴールに挑む優秀なチームを作ることができます。Netflixが飛躍を続けられる理由は、そういった採用文化にもあるのだということを知ることができました。本日はありがとうございました。

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
リクルートメント・マーケティング 採用活動をマーケティングでハックせよ連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

加勢 犬(カセイ ケン)

ウォンテッドリー株式会社 編集者
東京大学大学院総合文化研究科修了。同大学院後期博士課程を単位取得退学後、2015年よりサムライトに入社。オウンドメディア事業部マネージャーとして複数のメディアの立ち上げやグロースに携わる。その後、外資教育系企業にてコンテンツマーケティングに従事。現在は、ウォンテッドリー初の編集者とし...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2020/01/27 08:00 https://markezine.jp/article/detail/32782

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング