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ヴォレアス北海道が電子チケット化に全力シフト その先に見据えるマーケティングの展望とは

ライト層獲得のための秘策とは?

伊藤:その他にも、トリオチケットというのもありますよね。これもお友達を誘って来てもらう狙いがあるんでしょうか。

池田:ボリュームゾーンにおけるチケットの発券枚数のデータを見ると、1試合当たり1.8枚くらいでした。これをもっと増やせないかと考えて生まれたのがトリオチケットです。最初はやはり既存ファンに回ってしまっていたんですが、初回の人にとってお得なグッズの特典を付けることでライト層にアプローチする施策に変更しました。

 結果、発券枚数も2.4枚ほどに向上しましたし、新規層を獲得する施策としても成功しました。

MZ:伊藤さんから見て、ヴォレアス北海道のような先進的なマーケティング活動をしているスポーツチームはありますか。

伊藤:ほとんどないですよね。特にバレーボール界では唯一と言っていいのではないでしょうか。ヴォレアス北海道は革命的な取り組みをしていながらも、かつスポーツビジネスの肝であるきちんと地域に根付いた施策も丁寧に行っています。結果、再現性の高い形でファンと集客力を蓄積できています。このようなチームは稀有な存在だと思います。

圧倒的お得さで電子チケット移行を促進

MZ:2019年より電子チケットの販売をplaygroundの「Quick Ticket」を使って始めたと聞いています。その背景について教えてください。

池田:電子チケットはチームの設立時からやりたいと思っていましたし、いずれ電子チケットが当たり前になると考えていました。立ち上げ当初はスマホの普及率も低い状況でしたが、情報発信をSNSに集中させるなどスマホ環境がないと情報をキャッチできない施策を繰り返していたので、そろそろいけるかなと思っていました。

 しかし、スマホをガラケー時代とさして変わらない使い方をしている人が多いのが現状で、そういった方でも使っていたのがLINEでした。playgroundさんではメールやメッセンジャー、LINEで発券と分配が可能なため、一緒に組めば電子チケットへの移行も進められるのではと、取り組みを行うことにしました。

MZ:では、電子チケットの導入開始から、移行率を高めるためにどういったことをやっているか教えてください。

池田:他のチケットと比べて金額や特典の差を明確にしました。また、3枚でお得なトリオチケットと、10枚1セットのチケットを電子チケットで販売しました。複数人向けのチケットにすることで、その中でもスマホの扱いに慣れている人に購入していただく。そして、その人からLINEやメールで分配いただくことで、電子チケットの便利さ、お得さを多くの方に伝えるようにしました。

 まだこれからですが、試合会場で来た人に電子チケットの使い方を伝えるムービーを流したり、playgroundの社員の方による相談窓口を開いたりしたいとも考えています。

伊藤:ヴォレアス北海道さんでは、電子チケット化を機に新しい種類のチケットを企画されています。たとえば、「OFFICIAL SUPPORTERS CLUB入会チケット」では、チケットを売ると同時にファンクラブへの入会も促進しています。その他にもクーポンやビール券のセットチケットなども販売しています。

 実は、これらの豊富な券種を用意することは従来の仕組みだと難しかったんですが、Quick Ticketが持つ関連機能をフル活用することで実現していただいています。

池田:「OFFICIAL SUPPORTERS CLUB入会チケット」を購入したお客様は、会場内のブースで「サブチケット(電子)」を提示することで2,000円がチャージされたヴォレアス北海道デザインのEZOCA(リージョナルマーケティングの地域密着型プリペイドカード)を受け取ることができます。2,000円はあらかじめチケット価格に上乗せさせていただいております。

 このEZOCA会員は提携店舗決済額の一部がヴォレアスの活動費として還元されるだけでなく、OFFICIAL SUPPORTERS CLUBのメンバーとして会員限定の企画に参加することができ、会場内の飲食やグッズなどをキャッシュレスで購入してもらうことができます。お客様は便利に試合観戦を楽しんでもらえる他、チームとしてもより良いサービスを提供するために、どの属性の方がどういうモノを購入したのかなど、個人情報を除くデータを取得できます。チャージ済み額2,000円の根拠も過去の来場者消費額を根拠としております。

伊藤:サブチケット機能を単なる特典引換券などで終わらせず、会場内での体験を拡大させ、継続的な顧客接点を設ける使い方をされているのは開発者である我々から見ても驚きましたし、ありがたいと思っています。

MZ:電子チケット限定のお得なチケットを様々な形で用意することで、普及を進めていったんですね。では、それらの施策でどの程度電子チケットに移行が進んだのでしょうか。

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開始から数ヵ月で得られた成果とは?

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この記事の著者

道上 飛翔(編集部)(ミチカミ ツバサ)

1991年生まれ。法政大学社会学部を2014年に卒業後、インターネット専業広告代理店へ入社し営業業務を行う。アドテクノロジーへの知的好奇心から読んでいたMarkeZineをきっかけに、2015年4月に翔泳社へ入社。7月よりMarkeZine編集部にジョインし、下っ端編集者として日々修業した結果、2020年4月より副...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2020/02/05 08:00 https://markezine.jp/article/detail/32807

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