SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

新着記事一覧を見る

おすすめのイベント

おすすめの講座

おすすめのウェビナー

マーケティングは“経営ごと” に。業界キーパーソンへの独自取材、注目テーマやトレンドを解説する特集など、オリジナルの最新マーケティング情報を毎月お届け。

『MarkeZine』(雑誌)

第107号(2024年11月号)
特集「進むAI活用、その影響とは?」

MarkeZineプレミアム for チーム/チーム プラス 加入の方は、誌面がウェブでも読めます

花王廣澤氏が若手視点で聞く、これまでとこれからのマーケティング

「手口ニュートラル」で欲求を生み出すコミュニケーションを【花王廣澤氏×博報堂ケトル太田氏対談】


 花王のマーケター・廣澤祐氏が、業界で活躍しているキーパーソンと対談する本連載。今回は博報堂ケトルの代表取締役社長共同CEOの太田郁子氏をゲストに迎え、“広告が効きにくくなった”現在求められる企業のコミュニケーションのあり方について考えた。

広告が効きにくくなった2つの理由

廣澤:今回は、「アイディアを湧かせて、世の中を沸騰させたい」をコンセプトとするクリエイティブカンパニーである博報堂ケトルの代表取締役社長共同CEOである太田郁子さんにお話をうかがいます。

 昨今、“広告が効きにくくなった”という言説を受けて今後のコミュニケーションのあり方が問われています。今回の対談では、昨今のコミュニケーションにおける課題や今後求められることを探っていきたいと思います。

 漠とした質問ですが、現在の企業のコミュニケーションが抱えている問題はなんだと思いますか。

左:花王株式会社 コンシューマープロダクツ事業部門 キュレル事業部 廣澤 祐氏博報堂ケトル 代表取締役社長 共同CEO 太田 郁子氏
左:花王株式会社 コンシューマープロダクツ事業部門 キュレル事業部 廣澤 祐氏
右:株式会社博報堂ケトル 代表取締役社長 共同CEO 太田 郁子氏

太田:企業のコミュニケーションに関しては、廣澤さんが言っているように“広告が効きにくくなった”のが大きな課題だと思います。広告が効きにくくなった理由は大きく2つ。1つ目はテレビの視聴時間が減ってテレビCMが届きにくくなったから、2つ目はSNSの登場で、生活者がどの情報を信じていいのかわからなくなったからです。

 これらの理由によって、企業からの情報が届きにくく、届いても信じてもらいにくくなったと私は考えています。

廣澤:情報の信頼性がなくなってきた背景には、SNSを筆頭としたメディア環境の変化やそれにともなう個々人のつながり方やそこから生まれる認識の変化があるのでしょうか。

太田:メディア環境の変化が一番大きいです。加えて、そもそも生活者の中に欲求がなくなってきていることも、より企業のマーケティング・コミュニケーションを難しくしている背景にあると思います。高度経済成長期には、生活者が欲しいと思うものが続々出てきていて、それを伝えればよかったのに対し、現在は生活者の多くが満たされて心の中にニーズがなくなってきています。

 たとえば、スマートフォン市場もコモディティ化が進んでいて、新しい機能が買い替えのきっかけにならなくなってきています。こういった事態は様々な市場で起きているのです。

新しい欲求を作るコミュニケーションが必要に

廣澤:これまでのコミュニケーションは、あえて極端に言えば表面化しているニーズに対し、広く画一的なメッセージを届けていてもある程度効果を発揮したのだと思いますが、それがどのように変化しているのでしょうか。

太田:現在のマーケターに求められているのは、新しい市場を作ることです。そのために必要なのは、生活者の中に新しい欲求を作るコミュニケーションだと思っています。生活者の中にニーズがないからこそ、「こういう生活って素敵じゃないですか?」と企業側から新しいライフスタイルを提案し、新たな欲求を生み出すべきではないでしょうか。

廣澤:では、太田さんが生活者に新たな欲求を作るために今後どのようなコミュニケーションを見据えていますか。博報堂ケトルには「手口ニュートラル」「アイディアを湧かせて、世の中を沸騰させたい」というコンセプトがあると思いますが。

太田:博報堂ケトルは2006年創業当時、多くのコミュニケーションがフィルムやグラフィック中心だったのに対し、デジタルを活用したりリアルイベントでパブリシティ露出を狙ったりするなど「手口ニュートラル」な仕掛けを数多く行ってきました。

 しかし、単に広告を作るだけでなく、注目されるきっかけを作ることで世の中を沸騰させることは現在のコミュニケーションの王道になってきています。その中で博報堂ケトルが価値を発揮し続けるには、そのコンセプトを大事にして、今までになかった手口で企業のマーケティング課題を解決していく必要があると思っています。

 たとえば、弊社の畑中が群馬県高崎市のPRを目的に始めた「絶メシリスト」キャンペーンは、書籍化やテレビドラマ化など、既存の地方PRの枠組みを超えた取り組みとなっています。これからもこのような、新しいチャレンジに積極的に取り組みたいです。

廣澤:新しいチャレンジが実現できているのは、博報堂ケトルにいるクリエイターの方々が優秀というのもあると思いますが、それ以外に博報堂ケトルならではのDNAみたいなものはありますか?

会員登録無料すると、続きをお読みいただけます

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

次のページ
博報堂ケトルが持つDNAとは?

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
花王廣澤氏が若手視点で聞く、これまでとこれからのマーケティング連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

道上 飛翔(編集部)(ミチカミ ツバサ)

1991年生まれ。法政大学社会学部を2014年に卒業後、インターネット専業広告代理店へ入社し営業業務を行う。アドテクノロジーへの知的好奇心から読んでいたMarkeZineをきっかけに、2015年4月に翔泳社へ入社。7月よりMarkeZine編集部にジョインし、下っ端編集者として日々修業した結果、2020年4月より副...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2020/03/31 13:22 https://markezine.jp/article/detail/32911

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング