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実践!マーケティングアカデミー

ブランドへの「共感」、どう作る?

消費者の声から生まれたCMが「共感」を作るきっかけに

――そのCMを初めて見た時のことは、今でも鮮明に覚えています。

鹿毛:CM内では語られていませんが、CMを撮影したポルトガルのリスボンという街は1755年に大地震と津波に見舞われ6万人以上の方が亡くなった歴史をもつ街です。その復興を遂げた家並みを背景に、あのCMは撮影されています。

 CM放映後、本当に多くの声が寄せられました。そしてその中のひとつに、あるTwitterのフォロワーさんから「西川貴教さんが楽屋でエステーのCMをコピーしている」というものがあったんです。私はすぐに西川貴教さんに会いに行き、すぐに西川さんのCM出演が決定してミゲル君と西川貴教さんのコラボCMが生まれました。つまり、あのCMはみんなの声から生まれたものなんです。

 東北で行われた西川貴教さんのライブにも、ミゲル君はサプライズで登場しました。その際、ライブ会場で僕を見つけた人が「ありがとう」「ありがとう」と伝えてくれるんです。僕はここで、彼らとの「絆」が生まれたのを感じました。みんなの力で作ったCM、これによりケラーのブランド構築における「共感」の部分ができたのです。

 この話をすると、よく「西川さんファンを抱え込んだのでは?」と思われるのですが、そうではありません。もちろんみなさん西川さんのことも好きなんですが、エステーに対しても、プレゼントを持ってきてくれたり、ありがとうと言ってくれたりするんです。

 このように、私たちはもう何年も前からファンの価値を感じていて、それを一番大事にし続けてきた企業です。そんななか、6年前に「西川貴教さんと一緒にお仕事がしたい」という想いを胸に秘めた井出瑞樹が入社し、2年前から「花子」として、このファンとの絆を大切にする活動を率いてくれています。

――「エステー特命宣伝部」の立ち上げも花子さんから発表がされていましたね。「エステー特命宣伝部、はじめました。」というタイトルで、Webサイトで発表されていましたが、活動内容の詳細が語られていなかったことが印象的でした。

井出:そうなんです。それも、ひとつのポイントです。特命宣伝部のメンバー募集を開始する際、「入会すると◯◯が当たります」「西川貴教さん、高橋愛さんに会えます」というような「特命宣伝部員になるとこんないいことがあるよ」という情報は一切言いませんでした。

 もちろん特命宣伝部員に喜んでもらえるものを用意はしているのですが、Webサイトではみんなで「日常にある幸せ=いとをかし」を見つけて、作って、伝えあいませんか? ということだけを伝えました。どんなことをするのかまったくわかりませんよね(笑)。このときに入ってくださった方々は、本当にエステーのことを好きで入ってくださった方々です。

 私たちは様々な機会に部員のみなさんとお会いするのですが、会うたびに「会社の消臭芳香剤を消臭力に変えておきました」「お店に行ったとき、きれいに並べておきました」というようなことを伝えてくれるんです。特命宣伝部員の数は現在非公開ですが、エステー社員よりも遥かに多いです。これって、とても心強いことですよね。

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SNSは「心と心が結びつく場」フォロワー数をKPIにはしない

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この記事の著者

福島 芽生(編集部)(フクシマ メイ)

MarkeZine副編集長。1993年生まれ、島根県出身。早稲田大学文学部を卒業後、書籍編集を経て翔泳社・MarkeZine編集部へ。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2020/11/18 17:28 https://markezine.jp/article/detail/33059

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