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実践!マーケティングアカデミー

ブランドへの「共感」、どう作る?

SNSは「心と心が結びつく場」フォロワー数をKPIにはしない

――エステーを好きで、応援してくださる方が社員よりも多いということですもんね。すごいです。では、エステー特命宣伝部としてはどのような活動をしているのですか?

井出:普段は日常の些細な出来事をTwitter上でやり取りしているだけですが、たとえば新CMを開始する際などには、一般への情報公開前に部員のみなさんにはお知らせするんです。文面も「エステー特命宣伝部の皆様、〇月〇日の月9枠で新CMを発表します。正式な情報公開は当日の午後3時となります」というように、会議風にあえて固くしています。

鹿毛:一般に知らせていない情報を送るというのは、普通に考えると情報漏えいの可能性があり、怖いことですよね。でも、うちだと一切外に漏れないんです。なぜなら部員なので。彼らはエステーメンバーの一員なんです。

井出:そしてCM公開後はそのCMに合わせたハッシュタグを作って、みんなで盛り上げます。たとえば消臭男士・西川貴教さんが、“消臭力”で「空気を変える」ミッションに挑むという新CMの放映をスタートした際には、そのCM内容にあわせて「空気を変えた大賞」を実施しました。実はこの時には、会長がCMオンエアの前日に出演したテレビ番組で「明日から消臭力の新CMがはじまります!」とぽろっと言ってしまい、みんなからは「えーだまっていたのに!」と突っ込まれたということもありましたが(笑)。でもみんながオンエア後にたくさんツイートで盛り上げてくれて、その結果、Twitterで「消臭男士」のワードが日本のトレンド入りを実現しました。

鹿毛:他社だと、Twitterを活用する時、フォロワー数をKPIにしていたりしますよね。それも一つの手法ですが、私たちはそれはやらないと決めました。フォロワー数を増やすことだけをKPIにしてしまうと、人数を増やすためにプレゼントキャンペーンを実施するという方法に陥りがちです。そうすると、本当にそのプレゼントが欲しい人だけでなく、転売目的の方などもフォロワーとなったりする。つまり、薄い関係しか生まれなくなると思っています。

 せっかくのSNSだから、もう少し濃い関係を築けると思っています。「Twitterを使って何か情報を届ける」という企業側からの一方的な行動だけになるのはもったいない。それが主な目的であれば、ネット広告やテレビCMでもできることです。

 僕は、Twitterを始めとしたSNSは「心と心が結びつく場」と考えています。今「トリバ/エステー名誉特命宣伝部長」のフォロワーは1万ほどです。リーチ先が1万と考えると少ないですが、心と心が結びついている人が、1万人いると考えると、すごいことじゃないですか? よく「どうしたらこんな関係性が作れるのか」と聞かれることがあります。大切なのは「企業人」を捨てることです。かくいう僕も、よく花子から「それ、企業目線ですよ」と注意されるのですが(笑)。

井出:私たちが喧嘩するときは、大体そのことですよね(笑)。企業からの一方的な押し付けでは、特命宣伝部のみんなは喜びません。大切なのは彼らと同じ目線で「対話」することです。

 またファンベースドマーケティングという言葉がありますが、私たちはエステー特命宣伝部のみんなのことを「ファン」ではなく、大切な「仲間」だと思っています。これからも仲間とたくさんの「いとをかし」を共有していきたいですね。

今回のポイントは……
  • お客様を「リーチ先」と考えるのはやめる
  • SNSのKPIをフォロワー数にはしない
  • 「共感」を生むためには、まず「企業人」を捨てること

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この記事の著者

福島 芽生(編集部)(フクシマ メイ)

MarkeZine副編集長。1993年生まれ、島根県出身。早稲田大学文学部を卒業後、書籍編集を経て翔泳社・MarkeZine編集部へ。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2020/11/18 17:28 https://markezine.jp/article/detail/33059

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