SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

おすすめのイベント

おすすめの講座

おすすめのウェビナー

マーケティングは“経営ごと” に。業界キーパーソンへの独自取材、注目テーマやトレンドを解説する特集など、オリジナルの最新マーケティング情報を毎月お届け。

『MarkeZine』(雑誌)

第106号(2024年10月号)
特集「令和時代のシニアマーケティング」

MarkeZineプレミアム for チーム/チーム プラス 加入の方は、誌面がウェブでも読めます

MarkeZine Day 2020 Spring(AD)

これまでの通販CRMのセオリーが崩れてきた ファンケルが考えるメールによるエンゲージメント強化とは?

 40年の歴史を持つファンケルの通販事業が2019年春に会員サービスを大きく変更した。背景にあるのは「通販CRMの定石が崩れてきた」という認識だ。「MarkeZine Day 2020 Spring」では、ファンケルの長谷川氏とメール配信システム「MailPublisher」を提供するエンバーポイントの北村氏が、エンゲージメントを中心に、4つのテーマについてディスカッションした。

ロイヤリティ施策の重点項目が変わってきた

 ファンケルは創業40年を迎える無添加化粧品・健康食品事業を営む企業だ。売上年間1,225億円のうち、デジタルを含む通販が38%、直営店舗が36%と大半を占めている。

右から、ファンケル 長谷川敬晃氏、エンバーポイント 北村伊弘氏
右から、ファンケル 長谷川敬晃氏、エンバーポイント 北村伊弘氏

 そんなファンケルで2004年より自社ECサイトのサービス企画、そしてマーケティングに取り組んできたのが長谷川敬晃氏である。同社は1年前に会員サービスを大きく変えたが、この背景にあるのが「一般的な通販CRMの定石が崩れてきた」(長谷川氏)という認識だ。

 一般的な通販CRMの定石では、お客様を分類するにあたって「新規」「ライト」「ミドル」「ヘビー」という「購入回数軸」と、「アクティブ」「非アクティブ」という「購入後の経過日数の軸」を用いる。

 定石ではこのフレームワークをもとに、新しいお客様に対して購入された「商品の価値」を伝えて好きになってもらい、その後もっと好きになってもらうために「サービスの情報」「企業姿勢・CSR情報」を提供していく。

クリックで拡大
クリックで拡大

 継続購入の難易度でいうと、購入回数が少ないユーザーほど難しいというのが共通認識だった。そのため、ロイヤリティの高いユーザーよりも「新規」や「ライト」といった、まだ購入経験の浅いユーザーに重点的にリソースを割くのが普通だった。

 たとえば、商品を届ける際には商品のブランディングにつながる刷り物を同梱しつつ、その後タイミングをはかって複数の接点で次回購入につながるコミュニケーションをとるというのが鉄板だった。

 しかし、情報があふれ、異業種が参入して競合も増えた現在は「購入経験が多いユーザーでも離反しやすくなり、継続して購入いただくことが容易ではなくなった」と長谷川氏。

 結果として、ミドルやヘビーユーザーに対しても継続購入促進にこれまで以上に力を入れなくてはならなくなったのだ。

クリックで拡大
クリックで拡大

 そこで、購入回数が多い顧客も対象としたマーケティングに取り組むべく、会員サービスの改革、マーケティングオートメーション(以下、MA)の導入などを進めているという。「最適なタイミングで、必要な情報を届ける仕組みを作り、ミドルやヘビーユーザーといった新たな重点領域に対しても価値や情報を提供していく」と方針を説明する。

新規顧客開拓より非アクティブ層のアクティブ化の方が有効

 ファンケルのCRM戦略紹介に続いて、長谷川氏とメール配信サービス「MailPublisher」や、コンテンツ制作をはじめとする「メールマーケティング支援サービス」を提供するエンバーポイントCMO北村伊弘氏のディスカッションが展開された。テーマは以下の4つだ。

  1. 非アクティブ層へのコミュニケーションの重要性
  2. エンゲージメントを高めるにはどうするべきか
  3. エンゲージメント強化においてコンテンツはどの程度重要か
  4. エンゲージメント強化においてどれぐらいのデータ(量/種類)を持つべきか

 実はこの4つとも、エンバーポイントが2020年2月に実施したマーケティング担当者を対象としたアンケートから浮き上がった課題だ。

 1つ目の「非アクティブ層へのコミュニケーションの重要性」は、メールマーケティングの役割として特に重要なこととして最も多く挙がった(38.3%)ものだ。一方で、約74%が「施策を行っているが十分ではない」と回答している。

 長谷川氏はファンケルにおける非アクティブ層に対する考え方として、「この層へのアプローチは効率が悪く、やらなくていいという議論もあるかもしれないが、新規のお客様を育てるより、我々のことをわかっているお客様にもう一度商品を買ってもらいアクティブに持っていく方が価値が高い」と述べる。

 ゼロから新規顧客を育成するよりも、非アクティブユーザーに過去に購入した商品を同じように買っていただくことで、LTV(ライフタイムバリュー)が高い顧客を呼び戻すことができるという。

 そこへのアプローチとしてのメールマーケティングについては、「コスト効率を考えると、メールマーケティングをうまく使えないかと考えるのはうなずける」とアンケートの結果に同意した。

長期的なエンゲージメント強化に貢献するクリエイティブとは?

 MarkeZine Dayでも紹介されたファンケルがコア顧客向けに展開しているフォローメール施策の詳細を大公開。ぜひこちらからご覧ください。

次のページ
販促目的ではないメールでできること

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
関連リンク
MarkeZine Day 2020 Spring連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

末岡 洋子(スエオカ ヨウコ)

フリーライター

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2020/04/16 10:00 https://markezine.jp/article/detail/33077

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング