6割のコンバージョンが“なかったこと”に
各社のブラウザがCookieへの規制を強化したことで、実際に影響が出始めている。イルグルムでは、Safariブラウザを使ってGoogleの広告をクリックし、1日以上経ってからコンバージョンする実験を行ったところ、GoogleのレポートではブラウザのCookie排除機能によって、6割のコンバージョンが発生しなかったことになっていたのだ。
そもそもコンバージョンが発生する仕組みを解説すると、ユーザーが検索して見つけた広告をクリックし、サイトを訪れると、広告配信会社のアドサーバーからCookieがユーザーのブラウザに保存される。そしてCookieが保存された状態で、ユーザーがコンバージョンページを訪れると、「この広告をクリックしたユーザーが、何月何日にコンバージョンした」と、データとして初めて紐づく。こうして、コンバージョン率や顧客獲得単価が明らかになり、マーケターは広告の成果を判断することができるのだ。
しかしブラウザ側がCookieを削除してしまうと、コンバージョン数がわからなくなってしまう。「コンバージョンしたとしても、アドサーバー側にはわかりません。クリックはされたけどコンバージョンはしていない、とレポート上に示されることになるのです」と吉本氏は説明する。
このような影響は、Cookie規制が進むほど顕著になっていく。だが、プライバシー保護の強化は世界的な潮流であり、もはや後戻りはできないだろう。「アドテクノロジーはCookieと共に進化してきたという背景があるため、広告への影響は甚大になると想定されます」と吉本氏。