自信を持って話せる学生生活を
野崎:今回は昨年末に上場も果たしたリユースビジネスを展開しているBuySell Technologies(以下、BuySell)の取締役副社長兼COO、谷口さんにお話をうかがいます。
まず、ルーツを探るべく、学生時代から振り返っていただけますか。
谷口:私は小中高でサッカーをやっていて、ずっとキャプテンを務めてきたのですが、勉強はあまり得意ではありませんでした。猛勉強して、なんとか地元の進学校に入学することができました。
大学受験では、政治に関心があったこともあり、政治系の学部のある大学を受け、早稲田大学の政治経済学部に入学しました。
株式会社BuySell Technologies 取締役副社長兼COO 谷口 雅紀さん
早稲田大学政治経済学部政治学科卒。2008年株式会社博報堂入社。通信、ゲーム、エンターテイメント、エネルギー、家電、医療、食品、流通等の大手企業を担当。マスマーケティングを中心に、メディアバイイング、クリエイティブ制作、ブランド開発等、幅広いコミュニケーション活動に従事。2016年10月に執行役員マーケティング戦略本部長として当社に参画。2017年1月より取締役CMO。2020年3月より取締役副社長兼COO就任。
野崎:大学時代は、当時大ヒットした『ウォーターボーイズ』に刺激を受けて、男子のチアリーディングチームに所属していたんですよね?
谷口:そうです。大学に入ったときに無限の選択肢がある中で、1番になることよりも、他人がやっていないようなことのできる環境に飛び込み、自分に自信を持って話せるようになることが大事だと思っていました。その中で、知人が日本で初めて男子だけのチアリーディングチームを立ち上げると聞き、恐る恐るですが、一緒に活動することにしました。
結果、世界大会で優勝したり、テレビCMにも起用されたり、なかなかできない経験を得ることができました。その他にも、海外30ヵ国でバックパックをしたり、政治の世界を見るためにインターンをしてみたりと、様々な視点で自分しかできないであろう体験に飛び込んでいきました。
広告営業として成功
野崎:世界大会優勝とは驚きです。当時から独自性を意識して映えるキャリアを作っていたんですね。私は就活支援のコンサルティングもしているので、就活生とコミュニケーションするシーンも多いのですが、ここまでネタが多い学生はレアです。さて、その後の就職活動では、学生人気上位の博報堂に入社します。広告代理店一本で就活されていたのですか。
谷口:当時はかなりミーハーで、テレビ局や広告会社、商社など当時受かったら「すげえ」と周りから言われるような会社への入社を目指していました。その中で博報堂は、テレビCMに出演させていただいた際に、プロデュースされていた社員の方の働き方を見ていて、とても好感と刺激をもらったこともあり志望していました。
野崎:CM出演した時、博報堂と一緒に仕事していたんですね。一緒に仕事をした経験を語れると就活シーンでは効果的ですよね。入社後はどのようにキャリアをつくっていったのですか?
谷口:営業として、プロデュースワークを中心に行っていました。入社から数年間は下積みとして先輩に指示されたことをひたすらにこなす状態でした。忙しく盲目的な部分もありましたが、それが今の自分の基礎につながっていると思っています。
大手通信会社の新サービスのローンチに合わせたコミュニケーションプランの提案から、実行などにも携わり、雑誌広告、Webサイト、テレビCMの制作進行などを行っていました。
野崎:博報堂時代に印象に残っている仕事を教えてください。
谷口:とあるゲーム会社さんの広告予算を競合会社から奪取し、扱いを大幅に伸ばすことに成功した仕事が一番印象に残っています。最初はゲームのタイトルを考案するという小さな仕事からスタートし、4年目の私と6年目の先輩という比較的若手のチームで、博報堂の取り扱い金額の拡大につながる提案を進めていきました。
クライアントは戦略や事業運営に関してはプロだったので、我々はメディアとクリエイティブのプロとしての提案が求められました。その当時最適な広告メニューやクリエイティブを同社の戦略に合わせてひたすらに提案しました。結果としてゼロから数十億の売上を上げることができました。
新規クライアントの開拓として、所属していたセクションのアワードで新規開拓賞とグランプリを頂くことができました。
野崎:そして、ご活躍されていた博報堂から、現職の事業会社であるBuySellに転職されたのはなぜでしょうか。日々キャリアカウンセリングをしていて、広告会社の営業でよくあるパターンは、「自社の売上貢献はできているけど、クライアントのビジネスに貢献できているか不透明」と違和感を覚えるようになり、事業会社への転職を考え始めるケースです。