生活者の欲求を高ぶらせる「仕掛け」
PIXループを施策に落とし込んでいく際は、「情報デザイン」「衝動デザイン」「能動デザイン」「Re情報デザイン」の4つのポイントが重要だという。
「情報デザイン」とは、生活者の情報プールにどのように入り込むかを考えること。情報プールは、生活者の欲求に沿って形成される。
中川氏の行動デザイン研究所は、生活者の欲求を「安心系欲求」「同調系欲求」「優越系欲求」「充実系欲求」の4つに分類。
たとえば、他者と同調したいという欲求が強い人だと、イベント情報やトレンド情報をプールしているだろう。安心系欲求の中でも、特に損失回避欲が強いと、セール情報やランキング情報をプールしている可能性が高い。逆に言えば、どのような欲求を持っているのかを把握し、それに応えるコンテンツを届ければ、プールに入り込める可能性が高い。
企業がターゲットとなる生活者のプールに入り込むには、まずはどのようなプールを持っているのかを確認した上で、その根源にはどのような欲求があるのかを捉える必要がある。
「衝動デザイン」では、イグナイトを起こすトリガーを生み出すにはどうすればいいかを考える。
イグナイトのトリガーも、欲求と同じ「安心系」「同調系」「優越系」「充実系」の4つに分類できるという。イグナイトしてもらうには、それぞれの欲求を高ぶらせる仕掛けが必要だ。
たとえば、同調系欲求が強く、周りの友人に後れを取りたくないと思っていれば、友人の多くが観ている映画があったら自分も観に行くし、みんなが話題にしている商品は買うだろう(トレンドトリガー)。安心系欲求の中でも損失回避欲が強い場合、無料で使えるものがあればとりあえず試してみる可能性が高い(損得トリガー)。

購入・関係継続につなげるデザイン
「能動デザイン」は、高まった欲求を自社商品への購入につなげ、エキスパンドさせることを、「Re:情報デザイン」は、一過性の関係ではなく、継続的に自社を選んでもらうにはどうすればいいかを考える。2点とも、生活者と自社ブランドをいかに近づけるかが重要だ。
「生活者を自社ブランドに引き寄せていくにはどうすればいいのでしょうか。まず、ブランドが持つリソースを徹底的に洗い出し、把握しましょう。その上でどのように活用していくかを考えます。ブランドが持つ理念、商品、店舗やエバンジェリストなど、様々なリソースを生活者に合わせて料理することで、様々な受け皿を作ることができます」(中川氏)
最後に中川氏は、「自社商品×パーソナライズ化」、「店舗×コミュニティ化」など、アイデアを考える切り口としていくつかの掛け合わせを提案した。
アイデアの基本は、異なるもの同士の掛け合わせにある。生活者の欲求と自社リソースを近づけるために、何を掛け合わせればいいのかを考えると、突破口が開けるかもしれない。
「様々紹介してきましたが、一番考えるべきは、いかに生活者と近づき、関係性を継続できるか。その中で、自社商品の消費を継続的に行ってもらえるように何ができるかまで考えて設計することが、PIXループの肝です」(中川氏)
