家の中でもブランド体験を!加藤氏・石川氏が注目する施策とは
こうした状況下で、カタログ通販の老舗として厚いナレッジを有しながら、現在はECも主戦場に10万点を超えるアイテムを扱うディノス・セシールでは、どのような部分に商機を見出しているのだろうか? CECO(Chief e-Commerce Officer)の石川森生氏は、「当社は一部店舗はあるものの、基本的には非対面の通販事業が主体なので、ほぼ変わらないビジネスを続けられている」と説明する。
加藤氏は、先の複数社のCMOが“チャンス”と見据える項目の1つとして、まずは「家の中でブランド体験を拡張する」ことの可能性を挙げた。
リアルな接触が憚られ、状況が許す限り人々が家にこもっている現状、企業はおのずとターゲットが過ごす場である家の中に接点を増やす必要に迫られている。加藤氏が成功事例として挙げるのは、英サッカークラブ マンチェスター・ユナイテッドの企画だ。特に厳しい事態に直面するスポーツ業界だが、同社は子どもたちが家で楽しめるような試みを行い、かつ企画の裏側ではゼロパーティデータを収集する仕組みを備えたコンテンツを提供したという。
「これは家にいながらロイヤルティを向上させただけでなく、企画の裏側にゼロパーティデータを収集する仕組みが備わっています。子どもの好きな選手や年齢、また保護者の情報を取得し、先々のチケット販売や、現状ならば動画コンテンツの配信といったマーケティング活動に活かすことができるのです」(加藤氏)。
石川氏も、自身がマーケティング上で留意しているのはコンバージョン達成だけでなく、その手前の「時間を費やす対象として見てもらえるか」ということだと明かし、「このマンチェスター・ユナイテッドの施策の狙いは、とてもよくわかる」とコメントした。
「今、私たちがモノを買うときの選択肢は数多くあります。ディノス・セシールで購入できる商品は他社でも扱っていることが多く、オリジナル商材であっても代替する商品だってあるのです」(石川氏)
平時とは違うタッチポイントで第一想起を取りに行く
生活者に時間を費やす対象として見てもらうためにマーケターが考えるべきことは、第一想起をどう取るか。そのヒントとして石川氏は、「認知と理解の違い」に言及し、様々なブランド体験をしてもらうことが重要だという。
その観点から前述のマンチェスター・ユナイテッドの事例を捉えると、通常通りに試合が行われていれば会場に足を運んだり、試合の放送やニュースなどでタッチポイントが生まれるが、それが難しいとなると純粋想起が激減することが容易に想像できる。石川氏は「欠けた時間を埋める方法を考えたのだと思います。子どもたちと保護者をも巻き込んで、平時とは違うタッチポイントを生み出したのではないでしょうか」と読み解く。
加藤氏も「家で過ごすことが増えた顧客の時間の使い方は、もうすでに大きく変化しています」と述べ、それに対していち早く注目し、策を練ることが不可欠だと視聴者に呼びかけた。
動画本編では、さらに「ロイヤル顧客からの支援 今と未来の売上をつくる」「非接触経済の可能性」の2つのテーマ、そして国内マーケターが取るべき「次の一手とは」についても取り上げています。視聴はこちらから!