“情報の限界値”に挑む
MZ:ありがとうございます。コンテンツを作る上での考え方を中心にお話しいただいたのですが、動画だからこそ意識していることはあるのでしょうか。

宮内:動画に限定すると、「限界密度」という言葉を大事にしています。SNS上に流す動画は、長くても1分半程度でないと見てもらうことが難しく、記事に比べるとどうしても深い理解を促すのが難しくなります。そのため、短い時間でどれだけ情報を詰め込めるか、つまり再生時間すべてを山場にするにはどう作ればいいのかを重視しています。
また、「ワンメッセージで刺す」ことも意識しているポイントです。「商品の内容理解」や「商品の名前を覚えてもらう」といった、コンテンツの目的に沿った1つのメッセージを、動画に繰り返し登場させるようにしています。たとえば、「iFreeレバレッジ」の案件では、「ツミレバ」という名前を浸透させたいという目的があったので、テロップで何度もその名前を登場させていました。このように、“情報の限界値”に挑戦しながら動画を作っています。
細かい工夫の積み重ねが「見られる動画」を作る
MZ:なるほど。「限界密度」「ワンメッセージで刺す」以外に、動画の設計で意識していることはありますか。
宮内:他に意識しているのは、無音で見られることを想定して作ることですね。基本的に、新R25のコンテンツは、すべてスマホで見られることを前提に制作されています。動画だと、無音で見られることも多いので、音声がなくても意味がすべて伝わるようにしています。
動画チームが1秒単位の離脱率を毎回計測しながら、テロップを工夫して編集したり、1行の文字数に上限を定めてテロップを入れたりというPDCAを回しています。動画が見られるかどうかは、そういう細かい部分の積み重ねで決まってくるのではと思います。
MZ:プラットフォームによって作り分けはしているのでしょうか?
宮内:YouTubeや各種SNSのインフィード広告など、メディアとフォーマットによって様々なパターンを作り分けています。
インフィード広告の動画は、ユーザーが能動的に「見たい」と思って見られるわけではないので、1分半でワンメッセージというような「途中で飛ばされても意図が伝わる作り方」を意識しています。
YouTubeは広告ではなくオーガニックの動画を投稿しているのですが、「情報の限界密度」にこだわり、視聴者に記事と同じ体験をしてもらうことを意識しています。中には尺が30分くらいあるものもあり、「学びの凝縮」をできるように制作しています。
新R25が考える動画の評価指標とは?
MZ:制作した動画はどのような指標で評価しているのでしょうか。
宮内:基本的に「再生完了率」を指標にしています。これまでは、1分半の広告動画がどれだけ最後まで見られるかという点だけにこだわり、評価していました。
しかし、ただ見られるだけでなく、見られた上で「本当に人を動かすことができているか」にもこだわっていかなければならない。そこで今は、各プラットフォームと連携し、態度変容調査で検証しながら新たな指標を作っているところです。今後はブランドリフトや購買まで追えるような指標で評価していきたいと考えています。
マルチメディアで“新R25の動画広告”を
MZ:ありがとうございます。最後に、動画広告制作における今後の展望を教えてください。
宮内:今の動画広告事業全体を見ると、広告枠は増えているものの、そこに良質なコンテンツを流すことができるコンテンツメーカーがまだあまりいないのではないかと思います。なので新R25は、そこに挑戦していきたいです。
様々なメディアで“新R25の動画広告”というブランドが成立するように、コンテンツを軸として様々なメディアに展開していきたいと考えています。今後は街頭ビジョンや電車広告などにも挑戦し、媒体ごとにどんな動画が見られるのかを検証しながら多面的に展開していく予定です。