既存プレーヤーもDisruptorになることができる
私たちが提唱している「Disruption」には、大きく3つのポイントがあります。
(1)市場を創造している
ひとつ目は「Disruptionのゴール」について。一般的な「ディスラプション」の特徴として紹介される既存市場の破壊は、Disruptionにおいてはあくまでプロセスのひとつであり、必ずしも必要なものではありません。「Disruption」が最終的に成し遂げたいことは「市場の創造」であり、それが実現さえすれば既存市場の存続もありうるのです。
(2)Disruptionを起こすのは技術だけではない
二つ目は「どのようにDisruptionを実現するか」について。一般的な「ディスラプション」は技術革新によって実現すると紹介されることが多いですが、「Disruption」は必ずしも技術を必要としません。事実、これまでTBWAが得意としてきた領域はコミュニケーション。同じサービスや商品でもその価値を再定義して伝えることによってDisruptionを実現することができます。技術ではなく、どんな固定観念を破壊したいか(Convention)、そしてどんな未来を実現したいか(Vision)という「価値観の転換」がDisruptionを起こす上で最も重要と言えます。
(3)既存プレーヤーもまたDisruptorになることができる
そして三つ目が「誰がDisruptionを起こすか」について。一般的な「ディスラプション」においては既存の市場には存在しなかったスタートアップや他業界のプレーヤーがその破壊的な技術によって既存プレーヤーを脅かすと言われていますが、Disruptionにおいては新しいプレーヤーはもちろん、既存のプレーヤーが従来の発想を転換してDisruptionを起こすことができると考えます。現在私たちがDisruptionの実行をサポートしているクライアントの中にも、100年を超える歴史を持つ企業がいます。
次回以降は、このニューノーマルを生み出す破壊的思考法「Disruption」を実践していくためのより具体的な方法について、事例とともに解説していきます。本連載が、従来の固定観念を乗り越えた先にあるニューノーマルな未来を見つけ出し、その実現に向けた一歩を踏み出すきっかけになれば幸いです。