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MarkeZine Day 2025 Retail

「プロジェクト譜」で見出す、マーケティングの勝ち筋

開封率が上昇傾向、今改めて注力したいメールマーケティング 「勝つ」ために必要な3要素とは?

顧客との関係性を象徴する開封率

前田:メールマーケティングに取り組んでいる企業の目的を、大きく販売とエンゲージメントの二つに分けた場合、それぞれのメールの配信頻度やKPIにはどのような特徴があるのでしょうか?

神田:販売目的のメールとしてはECサイトがイメージしやすいと思います。メールの配信頻度は高い傾向があり、多いところでは一日数回の配信を行う企業もあります。セール情報などのメールをよく目にする方もいらっしゃるのではないでしょうか。一方、エンゲージメント目的のメールはメーカーなどに多く、ファンに向けてブランドロイヤリティを高めるために行われ、配信頻度は月1~2回程度が多いです。

 メール配信のKPIとしては、販売目的の場合だとシンプルに売上が重視されますが、エンゲージメント目的の場合は、開封率が主要な指標とされています。

前田:販売目的の場合も、まずは開封してもらわないことには始まらないと思いますが、開封率の向上にはどのようなポイントがあるのでしょうか?

神田:開封率はタイトルへの興味・関心だけでなく、そのメールを配信した企業・ブランドのメールをちゃんと見ようとするかどうかといった顧客との関係性の現れでもあります。メールの受信者にとって有益な情報が少なければ開封率は下がってしまうので、販促目的でメールを活用してきたものの開封率が低下しているという企業は配信頻度や、コンテンツの見直しが必要です。

 つまり、短期的な売上のために開封率を上げようとするのではなく、じっくりとファンのロイヤリティ向上に取り組むことで、いざ顧客に購入の機会が生じたときに一番最初に想起されたり、長く製品を利用してもらうことができ、中長期的には売上の最大化につながると考えています。

「プ譜」でエンゲージメントを高めるメールマーケティングを構築

前田:「エンゲージメントを保つ」あるいは「エンゲージメントを高める」ということを目的にした場合、定量的な指標は開封率になりますが、開封率だけを念頭に置いてしまうと、いかに刺激的なタイトルをつけるかといったテクニカルな対応に留まってしまう可能性があります。そこで、エンゲージメント向上を目的にした場合、プロジェクトをどのように進めていけば良いかを「プ譜」で考えてみたいと思います。

プ譜とは

プ譜(プロジェクト譜)は、プロジェクトを構成する諸要素と関係性、進め方をアウトプットし、記録するのに適した表現形式。変化する局面を常に最新の状態にし、遭遇した事象や獲得した情報に応じ、目標を見失わず、状況に応じた個別暫定解を出し続けることができる。

▼プ譜について詳しく知るhttps://markezine.jp/article/detail/33344?p=2
▼プ譜について詳しく知る

神田:メールマーケティングに取り組む企業は様々ありますが、ここでは架空のキッチン用品メーカーを題材にしてみましょう。まず、「受信者とのエンゲージメントを向上する」ことをプロジェクトの獲得目標とします。獲得目標が決まったら、次に行うのは「どうなっていたらエンゲージメントが向上していると言えるか?」という勝利条件の設定です。この勝利条件を測る指標は、定量的に表現すれば開封率が該当するでしょう。メールマーケティングで取得できる定量的な指標は開封率やページへの遷移率、到達率がありますが、どのような目的であっても、開封率は主要な指標です。

前田:定量的な指標だけでは、「予算の〇〇%を〇〇に投下する」といった数字だけが先行して、中身のない中間目的になってしまう恐れがありそうです。定性的な指標を入れるとしたら、どのようなものが考えられそうでしょうか?

神田:ここではこのキッチンメーカーのメールを読んだユーザーが、台所に立とうと思えたら成功としておきましょう。このように表現することで、次に説明するメールのコンテンツを考える幅が広がってきます。

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勝利条件の実現に必要な3要素

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この記事の著者

前田 考歩(マエダ タカホ)

「問いかけ・対話」と「構造化」でプロジェクト進行を支援する、平日早朝のみ開業の『プロジェクト・クリニック』を運営。プロジェクトを「管理」ではなく「編集」して進める方法として「プ譜」を考案。プ譜を使ったプロジェクトのコンサルティングや、企業及び小学生から大学生を対象に、プロジェクトを進めながら学んでいくPBL(Pro...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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2020/07/20 08:00 https://markezine.jp/article/detail/33640

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