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I&COレイ・イナモト氏が描く、店頭体験の進化 ユニクロ新店舗「StyleHint原宿」の狙い

これからのリアル店舗に求められる、エンターテインメント性

――今後ますますオンラインの利便性は向上していくと思います。そんな中、リアル店舗に求められる役割というのは、どう変わっていくのでしょうか?

レイ氏:リアル店舗に求められる役割は、今までは「買う」というところでしたが、これからは「エンターテインメント」というところも入ってくると思います。

 たとえば、ユニクロですと最近銀座に最大規模の店舗「UNIQLO TOKYO」もオープンしました。「UNIQLO TOKYO」は実際に行ってみるとわかると思うのですが、博物館や美術館のような店舗になっているんです。

 ただ商品が並んであるわけではなくて、本が置いてあったり、花屋さんがあったり。ただ「買う」だけの楽しみではなくて、そこにいること自体が楽しくなる、そんな店舗になっています。

 服に限らず、今後リアル店舗に求められるのはそういうところだと思っています。買うことだけを目的にしてしまうと、やはりどんどんオンラインに役目を取られてしまう。リアルだからこそできること=エンターテインメントを提供する場になるのが一つの線ではないかなと思います。

 またAmazonが、2年ほど前アメリカでWhole Foodsというスーパーのチェーンを買収するなど、これまでオンラインを主戦場としてきた企業がオフラインへの進出も始めています。

 Amazon Goの開発など、彼らがやろうとしているのは、オンラインとオフラインのデータをつないだ利便性の追求でしょう。ですがAmazon Goなどはまだ実験的レベルで閉鎖されるという話もあり、消費者向けの商売で利便性を追いかけるだけだと人は集まらないと思います。

「利便性だけを追ってしまう」デジタル化の罠

――最後に、MarkeZine読者にアドバイスをお願いできますか?

レイ氏:デジタル化を推進する際、キーワードとなるのは「お客様の負」を解消することです。しかし、その負を解消するために「利便性」だけを追ってはいけないということをお伝えしたいです。

 利便性だけを追求しても、それだけではリテールの新しい形にはならないでしょう。たとえばStyleHint原宿で言うと、利便性だけを追求して体験を作ろうとしたら、別に240枚もディスプレイを用意する必要はないんですよね。

 でも、やはり240枚あるからこそ、圧倒的なインパクトが生まれ、人は見に行きたくなる。デジタル化を進めるとき、多分皆さん間違えるのが「利便性だけの追求」というところだと思います。それだと、結局つまらないもので終わってしまって、なかなか続かない。もちろん、新しさや面白さだけを追求しても、飽きられてしまうので続きません。

 大切なのはお客様の目線に立ち、利便性とエンターテインメントをかけ合わせること。ぜひこれを意識して、取り組んでいただきたいですね。

――レイさん、本日は貴重なお話をありがとうございました。

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この記事の著者

福島 芽生(編集部)(フクシマ メイ)

MarkeZine副編集長。1993年生まれ、島根県出身。早稲田大学文学部を卒業後、書籍編集を経て翔泳社・MarkeZine編集部へ。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2020/09/03 07:00 https://markezine.jp/article/detail/33718

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