「可視化できない領域」に必要な想像力
SNSをマーケティングに活用したい企業にとって、ダークソーシャルの存在は無視すべきでない理由は先述の通りだ。
とはいえ「UGCが生まれた経緯や中身すらわからない、データドリブンもできない領域とどう向き合えばいいのか」と困惑する人もいるだろう。解決の糸口は、データで可視化できない/把握できない部分に「想像力」を持つことである。さらに、その想像力の鍵となるのは、「顧客視点」だ。たとえば以下の項目を意識してみてほしい。
・自分は普段、どのような購買行動を取っているのか?
・自分は普段、どこから商品を認知し、態度変容しているのか?
・購買を後押しする要素や理由は何か?
可視化できない領域を想像するには、企業側の人間が「顧客としての視点」を忘れないことが肝要なのだ。また、自分が顧客の立場であるときを思い返してみて、過去の購買経験を洗い出したり、ダークソーシャルでUGCを発信したときの自分のインサイトを掘ってみたりといった行動も、見えないUGCの発見につながるだろう。

これら顧客視点を忘れないことが、ダークソーシャル上で自社に関する評判が日々生まれていることへの意識を高める。
「見えないクチコミ」も大事に
いち消費者としての自分の行動を思い出せば、ダークソーシャル上でクチコミを発信したり購買したりしていることは、きっと理解できる。本当に起きている購買行動や顧客の本質を見失ってはいけない。
ダークソーシャルにおける「見えないクチコミ」も大事にする発想を持てば、マーケティング施策も広がるだろう。ダークソーシャル上でクチコミが出ることを前提にした施策を立案できるかもしれない。第三者からは見えない場所でも話題にしてもらえるような「良い商品やサービスを作る」という、顧客への本質的な価値提供をブラッシュアップできる可能性もある。
「消費者行動」という根本的な前提を踏まえ、自社ではSNSをどのようにマーケティングに活用できるか。このような課題のヒントになれば幸いだ。