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「契約のかたち」を根底から変える、リーガルテックのHubble酒井氏に聞く「OneNDA」の可能性

 ビジネスと法律・契約書は切っても切れない関係にありますが、「契約書を作らなくてもOK」そんな時代が来るかもしれません。弁護士からリーガルテックのスタートアップに転身したHubbleの酒井智也氏に、この領域の可能性についてうかがいました。

リーガルテックの4つの領域

――新型コロナの影響もあり、業務のデジタル化が従来とは異なるかたちで進んでいますが、法務の領域にかかわる「リーガルテック」が果たす役割は大きいと感じています。今回は、契約書の管理や共有をデジタル化するサービスで知られるHubbleの酒井智也さんにお話をうかがいます。まず、酒井さんがこの世界に足を踏み入れるきっかけは何だったのでしょう

酒井:僕は大学の法学部で学んだあと、ロースクール(法科大学院)に進学し、司法試験合格後に弁護士として法律事務所で働き始めました。そこで企業法務、M&A、紛争裁判などの業務に従事して、キャリアを積んでいきました。当時、顧問弁護士としてスタートアップを10社以上担当していたのですが、同世代の仲間が社会に新しい価値を提供するサポートをする中で、自分もアドバイザーの立場ではなく、プレーヤーとして社会の課題を解決していきたいという思いが次第に強くなっていきました。

 支援していたスタートアップの中の1社がHubbleのCEOである早川がやっていた会社で、彼と当社CTO(当時の技術顧問)の藤井とリーガルテックの可能性について議論する中で、リーガルテックプロダクトを提供する方向に舵を切ることになり、「Hubble(ハブル)」としてスタートしました。

酒井 智也(さかい・ともや)氏慶應義塾大学大学院法務研究科卒業。2013年司法試験合格後、東京丸の内法律事務所でコーポレート、M&A、破産管財業務、紛争案件、スタートアップ顧問アドバイザー業務等に従事。2018年6月、株式会社Hubble取締役CLO(Chief Legal Officer)に就任。
酒井 智也(さかい・ともや)氏
慶應義塾大学大学院法務研究科卒業。2013年司法試験合格後、東京丸の内法律事務所で
コーポレート、M&A、破産管財業務、紛争案件、スタートアップ顧問アドバイザー業務等に従事。
2018年6月、株式会社Hubble取締役CLO(Chief Legal Officer)に就任。

――リーガルテックは、法律や契約にかかわる業務をテクノロジーでどのように改善するのでしょう。

酒井:弁護士の業務というのは労働集約の側面が強く、アナログな作業も多く存在しています。書類は紙ベースでまとめられていることが多く、裁判所への書類の送付はFAXが日常的に利用されています。このような多くのドキュメントが電子化されて、より効率的に検索できるだけでも業務効率がまったく変わってくると思っていました。

 Hubble創業当時の日本では、会計・経理の領域ではマネーフォワードやfreee、人事系ではSmartHRなどが登場して伸びていた。リーガルテック先進国であるアメリカの動向も調査しながら、業務のデジタル化の流れの中で「リーガル」という領域だけが取り残されるというのは考えづらい、この市場は絶対伸びるという確信がありました。

――日本でも多様なサービスが出てきましたね。

酒井:主要なものを分類すると、電子署名、契約関係(コントラクトマネジメントシステム、AIレビュー等)、リサーチ系、日本だとまだあまりないですが、紛争解決のような分類が可能だと思います。

 当社の「Hubble」は、契約書などの法務ドキュメントの管理・共有を効率化するサービスです。多くの会社では、Microsoft Wordなどを使った契約書のひな型があって、契約内容に応じて修正や加筆をして最終的な契約書を作成していると思います。Hubbleはそうした契約書のバージョン管理だけでなく、関係者の過去のやりとり、契約の更新時期などの情報を組織のナレッジとして蓄積することができます。

 また、自動差分抽出機能や検索機能があるので、どこをどう変えたのかなど、必要な情報や当時の状況を把握できます。最近のアップデートにより、案件のフェーズの管理や期限の管理等もできるようになったので、契約業務全般を管理していくことが可能になりました。

 「Hubble」のユーザーは、法務担当者だけでなく、営業担当者や事業部の方々など、企業で契約書にタッチするすべての人です。その他、企業と弁護士の間でのやりとりも結構煩雑なので、そこを解消するサービスとして弁護士の方々にも使っていただいています。

――私たちが他社と契約を交わす場合、法務担当者がひな型をもとに文書を作成し、弁護士に内容確認を依頼し、調整したうえで最終的な契約書を交わしますが、文章やフローも含めて、契約書が変わっていく可能性はあるのでしょうか。

酒井:僕はあると思っています。契約というものは本来、法人と法人、個人と法人などの間で行われるコミュニケーションであるはずです。でも、ビジネスパーソンが読んでも理解できない言葉が書かれている契約書って、契約の本来の意義が形骸化してしまっていると思うんですよね。実際には多くの人が内容は把握していないけれど、「とりあえずNDAを結んでおけば安心」みたいな空気がある。

 8月にHubbleが立ち上げた「OneNDA」というプロジェクトは、「まず、みんながちゃんと同じルールを理解する」というところにひとつの意義があり、そのための土台を作っていこうとしています。

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この記事の著者

井浦 薫(編集部)(イウラ カオル)

MarkeZineで主に書籍を作っています。 並行して、MONEYzineにも力を入れています。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

安成 蓉子(編集部)(ヤスナリ ヨウコ)

MarkeZine編集部 編集長 1985年山口県生まれ。慶應義塾大学文学部卒業。専門商社で営業を経験し、2012年株式会社翔泳社に入社。マーケター向け専門メディア『MarkeZine』の編集・企画・運営に携わる。2016年、定期誌『MarkeZine』を創刊し、サブスクリプション事業を開始。編集業務と並行して、デジタル時代に適した出版社・ウェブメディアの新しいビジネスモデル構築に取り組んでいる。2019年4月、編集長就任。プライベートでは...

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MarkeZine(マーケジン)
2020/08/07 11:00 https://markezine.jp/article/detail/33795

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