なりたい像を小さくてもいいから描くこと
MZ:2020年7月までマーケターキャリア協会(※)のメンターも務められていましたが、どのような相談に乗っていたのでしょうか。
(※)マーケターキャリア協会とは:「マーケターの価値を明らかにする」というビジョンのもと、ビジネスに対するマーケティングの貢献度の調査、マーケターのキャリア構築支援などを行っている一般社団法人(詳細はこちら)。
尾澤:相談に乗っていたのが若くして起業された方で、「どうすれば効率的にマーケティングスキルを会得できるか」という相談でした。すでに本も読んだりセミナーを受けたりといった基本的なことは行った上での質問だったので、なぜマーケティングのスキルを必要としているのかを深堀するところから始めました。
具体的には、マインドマップに何を成し遂げたいのか、そのために何が必要なのかを洗い出してきました。一緒に何を学ぶべきなのかを考えた形です。

MZ:尾澤さんも、キャリアを作る際に将来像を描いていたのでしょうか。
尾澤:大きな人生像は描いていました。私は最終的にすごく多くの人に愛されて、海の見える丘の上に家を建てて、そこでジャムでも煮ながら暮らしたいんです。
何のためにマーケティングの仕事をしているかを考えたとき、一見関係ないように見えます。しかし、様々な仕事や試練も実はそこに向かっていくため、という感覚が自分の中ではあるんです。そのため、最終的な目標到達のために役に立つか、という視点でキャリアも選択してきました。
マーケティングスキル以外もマーケターの糧になる
MZ:今後のキャリアで成し遂げたいことはありますか。
尾澤:まずは、現在所属するオリックスでの貢献です。具体的には、変革プロジェクトを成功させて、オリックスの取り組みが業界内で先進的な事例として取り上げられるようにしたいと考えています。
それによって、社内の方の意識が変わって、数万人規模の会社が大きく変化するきっかけとなれば良いなと思います。
MZ:最後に、キャリアについて悩んでいるマーケターにアドバイスをお願いします。
尾澤:やはり、先ほどもお話ししましたが将来像をきちんと描くことですね。たとえば、大企業のCMOになりたいのか、デジタルのスペシャリストとしてフリーでやっていきたいのかで、必要となるケイパビリティは異なってきます。前者ならマーケティングのスキルだけでなく、マネジメントや社内外の交渉力なども求められてくるはずです。
ですので、「○○会社のあの人になりたい」「独立したい」でもいいので、先のビジョンを持つことが重要です。今もらっているオファーを受けるべきかどうかや、現在の仕事が必要かどうかも見えてきますし、焦りもなくなってくると思います。
そういった考え方で食わず嫌いをせずに、自分の成長を助けてくれる経験を積んでいっていただきたいです。