オリックスのDX推進に貢献
MarkeZine編集部(以下、MZ):まず、尾澤さんの現在の業務内容について教えてください。
尾澤:現在はオリックスのデジタルイノベーション促進部という、2019年8月に新設された部署に在籍しています。同部署はオリックスのデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進するところで、会社の中でもかなり異色の部署となっています。
MZ:どのあたりが異色なのでしょうか。
尾澤:グローバルから多様なメンバーが集まっている点ですね。リーダーがカナダ出身の方で、他にもインドやフランスなど、様々な国から集まったメンバーで構成されています。
また、私はマーケターとして参画していますが、データサイエンティストやビジネスアナリストもいれば、IT関連やUI/UXデザインなど、様々な経験とスキルを持った人がいます。企業活動をデジタル化するだけなら、エンジニア中心でも成立しますが、新たなビジネスモデルや価値をDXで創出するには、様々なスキルを持った人材が必要になるのです。
MZ:オリックスにはどのような理由で入社されたのでしょうか。
尾澤:縁とタイミングが大きいですね。入社する前はフリーでコンサルタントをしており、様々な企業のDXをマーケティング視点でお手伝いしていました。その中で、オリックスからお誘いがあり「コンサルティングのお仕事の依頼かな?」と思ってお話を聞きに行くと、社員として入社してほしいとのオファーでした。
最初は、業務内容には興味があったのですが、企業に属するのはちょっと、と思っていました。ただ、2月の中旬ごろから新型コロナウイルスが流行してきて、他社の案件が止まり出してきたこともあり、これもご縁かもしれない、とオリックスのDX推進に専念しようと決心した形です。
事業会社から支援会社に移ったのが大きな転機に
MZ:では、尾澤さんのこれまでのキャリアを振り返っていきたいと思うのですが、ご自身のキャリアの中で「ここがターニングポイントだった」という点を教えていただけますか。
尾澤:一番大きかったのは、テンピュールで5年半ほどマーケターとして在籍する中で、グロービス経営大学院でMBAを取得し、その後2017年にフライシュマン・ヒラード ジャパン(フライシュマン)に入社したときですね。
MZ:フライシュマンといえば、外資のコミュニケーション・コンサルティング企業だと思いますが、事業会社から支援会社に行くケースはこれまでキャリアの取材をしてきた中でも珍しいパターンです。なぜそのような決断を?
尾澤:事業会社にいたころ、社内でデジタルマーケティングも含め理解・協力を得られずに苦戦している同志(マーケター)が多くいることに気が付きました。そのような同志をサポートしたいという思いがあったからです。
ただ、実際に入ってみると非常に業務がハードで後悔した部分もありました。しかし、1人のコンサルタントとして、どんなお題に対してもぱっと課題を見つけて戦略からアクティベーションプランまでを考える力が支援会社に移ることで得られました。
また、事業会社にいたときに自ら意思決定をしていたつもりが、実は代理店さんのアイデアを評価・判断しているだけで、ゼロイチで自分たちからアイデアを考えられていなかった部分もあったのでは、と気づくこともできました。一方で、支援会社にいると事業会社内の人間関係や決済の通し方など細かい事情が見えにくく、提案できるアイデアに限界があるといったことも理解できました。
このように、支援会社と事業会社の双方のお困りごとが見えてくるようになったのは、私のキャリア形成において重要な局面だったと感じています。