顧客事例の多様な展開で顧客の「知りたい」に対応する
ここからは、聴講者から事前に寄せられた質問の中で、関心の高かったBtoBマーケティングの戦略/組織/リードジェネレーションについて、佐藤氏と中東氏がディスカッションしていく。まずは、「BtoBマーケティングのこれからの戦略」だ。
佐藤氏は、2011年にGoogleが提唱したZMOT(Zero Moment of Truth)を例に挙げ、「オンラインによる情報収集後に購買行動へ移るのは、個人だけでなく法人も同じ」と話し、顧客の購買行動の理解が重要であると訴えた。

とある調査とによると、57%の法人が購入前に情報収集を行い、おもにWeb検索やベンダーWebサイトを活用している。つまり企業は、顧客が情報収集をはじめたタイミングで、役に立つ情報を、顧客との接点に配置し、見つけてもらう状態を作っておかなければならないのだ。「バイイングとセリングのプロセスを比較し、お客様の購買行動に合わせた発信をしないと、リードは増えない」と佐藤氏。
これには中東氏も同意で、「ビジネスの本質は変わりません。変わっているのは、お客様とのコミュニケーションや手法、顕在化したニーズです」と、顧客の購買行動の変化を柔軟にキャッチアップし、企業側が対応を変えていくことを促した。
続いてのテーマは、「BtoBマーケティングの組織」だ。ライトニングトークで話されたとおり、佐藤氏はマーケティングと営業の組織を整えてきた。そして自社内には、お客様事例コンテンツを制作する編集チームも置いている。制作した事例は、オウンドメディアに掲載するだけでなく、ダウンロード用のホワイトペーパーに加工したり、外部メディアの広告タイアップに利用したりと、様々なポイントに展開する。事例の外部メディア掲載は、獲得効率が高いことも特徴。同社のコンバージョンポイント353件のうち、実に6割がお客様事例に起因するものだという。ホワイトペーパーをダウンロードする際にメールアドレスを取得するため、その後も類似や業種別の事例を紹介したメールマガジンでナーチャリングを行い、リードへと繋げている。

さらに中東氏は、スタートアップや事例が少ない企業に向けた、オリジナルのハウツーを披露。詳細な事例も重要だが、まずはサービスを導入した企業のロゴ一覧をサイトに掲載しておくと、顧客の関心や信頼度が高まるという。契約書内に、事例作成のお願いを盛り込むことも効果的だ。また佐藤氏も、お客様事例の制作を依頼する際のレターを紹介し、マーケティング担当者がリードしながら、顧客視点の制作フローを丁寧に説明することで、許可が下りる率が高まることを明かした。