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抑圧された不満と、その背景にあるインサイト 社会課題に向き合うブランドが支持される時代に

2020/08/25 07:00

 「あらゆるワタシに選択肢を」というミッションを掲げ、「生理」「性教育」といったこれまで公に語ることが阻まれていた課題について、WebメディアやECを通じてオープンに発信するプラットフォーム『ランドリーボックス』。ステイホームの影響でSNSへ向き合う人が急増する中、DV、緊急避妊薬、子育てのあり方、LGBTなど潜在的に存在していた社会課題への注目度が上がっている。ダイバーシティをテーマにマーケティング支援に取り組むAmplify Asiaの白石愛美氏をモデレーターに、ランドリーボックス 代表取締役の西本美沙氏とジェンダーや社会課題との向き合い方、そして企業がその課題解決に携わる糸口について語り合った。

目次

欧米で進む、社会課題に対するブランドの提言

白石:今から2年ほど前、2018年にバーガーキングが同じような商品でも女性用品だけ値段が高いことを逆手にとり、女性向けパッケージのチキンだけ高価格で提供した「CHICK TAX」という啓蒙活動を実施しました。同じものでも女性用というだけで値段が高いこと(ピンクタックス)があるという違和感にもっと声をあげようと、示唆にあふれたキャンペーンでした。

 

西本:海外ではキャンペーンを通じて、社会課題に対して企業がメッセージングするケースも多いですよね。他にも、生活必需品であるはずの生理用品が軽減税率の対象外であることを疑問視したドイツの生理用品ブランドが、軽減税率の対象である書籍の付録としてタンポンをつけることで課題解決に寄与した「タンポンブック」も話題になりました。これら施策や様々な署名運動なども経て、ドイツでは2020年から生理用品が軽減税率の対象になりました。

白石:ええ。いずれも意味のある取り組みです。バイエル薬品が日本人女性約2万人に調査した結果によると、生理痛やPMSなどの月経困難症による労働力の低下による経済的損失は年間6,828億円に及ぶといいます。

 労働人口が減少する中で、企業が収益を出しながら経済活動を行うためには、様々な性の人、様々な生き方をする人を慮ってともに働き続けていくほかに選択肢はないはずです。そこで今回は、生理をはじめ、これまで声を上げるのをはばかられてきたけれども、確実に女性のライフプランの中心にある性に関するテーマを発信するメディアコマース『ランドリーボックス』を立ち上げた西本さんとの対談を通して、メディアとダイバーシティの関係、そして企業ができることについて考えていきます。

株式会社Amplify Asia 代表取締役/コーポレートコミュニケーション コンサルタント 白石愛美氏

生理もダイバーシティも、当事者だけの課題ではない

白石:まだ日本では生理や性的な話題について語ること自体が、タブー化している印象があります。そんな状況下で、『ランドリーボックス』を立ち上げた経緯や、西本さんご自身が感じる社会の変化について、お教えいただけますか?

ランドリーボックス株式会社 代表取締役 西本美沙氏

西本:『ランドリーボックス』は「あらゆるワタシに選択肢を」というコンセプトを掲げて、生物学的女性の身体に訪れる変化に寄り添うスタンスを取っています。

 読者層はコンテンツによって異なりますが、20代後半~40代女性が中心。更年期障害の記事を出すと、40~50代の方にも読んでいただくことがあります。ただ、Twitterでは10~20代前半の読者がよくシェアしてくださっていますし、男性読者もたくさんいらっしゃいます。笹川ねこさんによる『取材が終わったらソファが真っ赤になっていた話。』というエッセイや、医師夫婦で性教育の情報を発信されているアクロストンさんによる『男の子のための生理教室』の記事は多くの男性がシェアしてくださいました。

白石:このテーマの難しさは、「正解がない」ところに尽きると思います。「すべての人のすべてのあり方が正解である」というまさにダイバーシティの中心地にある話題を扱っていますよね。コンテンツを制作する際にはどのようなことに気をつけていますか?

西本:まさにおっしゃる通りで、「これが正解です」と言い切らないことを方針としています。もちろん医学的な内容については医師に監修いただき正確を示すようにしています。

 それ以外のコラムやインタビューについては、一人ひとりの価値観が違って当然ですので「この世界にはいろんな視点ある」ということを提示し、それをどう感じ取っていただけるかについては、ありのままで構わないと考えています。共感する方もいるでしょうし、違和感のある方もいるでしょう。そのすべての感じ方が「アリ」だと伝えたいですね。これが正解だと押し付けることのないように気をつけています。

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