SDGsはマーケター向きのテーマ
――続いて、現在注力されているお仕事を教えてください。
ラバブルマーケティング推進室の室長として、様々なプロジェクトに関わっています。たとえばSDGs推進プロジェクトでは、noteを通して「マーケターが本気でSDGsに取り組んだら?」をテーマに発信しています。SDGsへの関心は高まっていますが、「何かを我慢する」「〇〇をしなければならない」のような、頑張って取り組む仕組みになりやすいものです。このようなとき、インセンティブ設計が得意なマーケターならば、楽しんで、自然と取り組める仕掛け作りを考えることができますよね。SDGsはマーケター向きのテーマとも言えるかもしれません。一方、取り組みたいと関心を持っても、まだまだ具体的な方法がわからないという方が多いのが現状です。SDGsは、これからのブランディングに欠かせない要素でもあります。実践方法の参考となる情報の発信を通して、マーケティング業界を含め社内外にSDGsを広げていきたいです。

並行して、SNSエキスパート協会の理事としても活動しています。ブランドの本当のファンを増やすために、SNSマーケティングは重要な役割を果たします。ユーザーをハッピーにするためのストーリーを設計し、ファンとのつながりを深めることは、結果として認知や販促の費用対効果も高め、マーケティング全体を良い方向へ導く。このことを強く実感しており、SNSの進化のあり方だと考えています。ところがこれまでのマーケティングは認知拡大や販売促進が重視され、ファン作りやロイヤルカスタマー育成は軽視されがちでした。SNSも、刈り取り型のマーケティング戦略で使われると、短期でバズを起こすような刺激が強いコミュニケーションが重視されてしまいます。
そうならないように、今はSNSマーケティングの戦略設計ができる人材を育成したいと考えています。一般的な人材育成は抽象的な論を学んで終わりになりやすく、特にマーケティングのスキルを得るためには、時間をかけて経験を積む、熟練が求められてきました。しかし当協会では、戦略眼を養い、“自分ごと化”するにはどうしたらいいか? を考えた実践的な仕組みを考えています。短期間でマーケティング戦略プランニングのノウハウを修得できる講座を、開発中です。
――最後に、今後の展望をお話しください。
大きく2つあります。1つ目は、マーケターの育成です。SNSエキスパート協会の講座を通し、ユーザー・社会・企業の利益を一致させられるようなマーケティング戦略を描ける人材の育成に、寄与していきたいです。私自身の経験からも言えることですが、短期間でいかに売るかに特化した駆け引きになってしまっては、数値を達成するだけの作業が続き、運用の現場は疲弊してしまうようにも感じます。そうではなく、ユーザーを幸せにすることが戦略となれば、日々の活動はより温かく、クリエイティブなものに変わるでしょう。反響がダイレクトに感じられるSNSマーケティングは、人の役に立てた喜びが原動力や日々のやりがいとなるような、ハッピーな仕事です。愛されるマーケティングを積み重ねていくことが、業界全体をラバブルにしていくことへつながると信じています。
2つ目は、SDGs推進プロジェクトを通じて、マーケティングや企業活動を積極的に豊かな未来社会を描く活動へとつなげていくことができればと思っています。
