UGCが増えるほど「指名検索」が増える
とはいえ「良いクチコミを多く増やすことに、それほどの効力があるのか?」と疑問を抱く人もいるかもしれない。そこで、以下のグラフを参照していただきたい。

グラフはホットリンクが支援しているクライアントの事例で、UGCの推移と指名検索の推移、それにともなう売上の伸びをまとめた図だ(一部波形が伸びているのはバズが起きたため)。
この図が指し示しているのは、UGC数と商品の名前の検索(指名検索)、売上との相関関係である。UGCという質の高い認知が増加していくと、ユーザーは興味関心を抱いてくれるようになり、指名検索をするのだ。
仮にコスメに関する情報を調べているユーザーがいるとして、「新作 リップ」で調べているユーザーと「商品名 リップ」で指名検索しているユーザーとでは、後者の方が自社商品への購買意欲は高い。指名検索が増えれば増えるほど、売上につながる可能性も高くなる。UGC数の増加は指名検索の増加も後押しするし、それらは最終的に売上に直結していくのである。
SNS時代の購買行動「ULSSAS」とは
具体例や上記のデータから、「SNSでモノが買われている」イメージはつかめていただけただろうか。読者の中にも似たような購買経験をした人もいるかもしれないし、こういう行動を取っている身近な人物の姿が思い浮かんだ人もいるかもしれない。クチコミが購買に与える影響力についても、その重要性を認識していただけた人がいれば幸いだ。
SNS時代に生まれた一連の購買行動プロセスは「ULSSAS(ウルサス)」という。図で表すと、このような形となる。

「ULSSAS」は、購買行動プロセスにある次の6つの行動の頭文字から成る言葉だ。
U:UGC
先述した、箱根旅行に関連するInstagramの投稿が該当する。要するに「クチコミ」である。Twitter上にアップされている商品やサービスに関する感想ツイートもUGCだ。UGCの発生は、ULSSASの起点となる。
L:Like
「いいね!」のこと。UGCを見たユーザーは、「いいね!」を押して共感を抱く。
S:Search1
SNS検索。UGCで得た情報をさらに深堀りするためにSNSで情報収集したり、他のユーザーのクチコミを見たり、公式アカウントの雰囲気を確認したりする。
S:Search2
GoogleやYahoo!など、検索エンジンを使った情報検索。お店の予約やECサイトでの購入が発生することも。いまや検索エンジンを使った検索行為は、「司書」や「先生」に尋ねるイメージに変化しており、SNS検索だけではわからなかった公式の詳細情報や知識を集める行為となってきている。
A:Action
購買や実際にその場所に行くなど、何かしらの具体的な「行動」が起こる。
S:Spread
拡散。購入した商品の感想を書いたUGCを投稿することなどが該当する。「Share(共有)」ではなく「Spread(拡散)」であることがポイントだ。前者には端的な情報共有のニュアンスが感じられるが、後者の「拡散」には「他の人にも、もっと知ってもらいたい」といった思い入れがのせられている。