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MarkeZine Day 2025 Retail

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迫るクリエイティブの民主化 アドビ開発中製品から見えた、コンテンツ制作の未来

“着せ替え”で商品画像制作を自動化する

 コンテンツの爆発的増加はECの領域でも同様だ。本部スタッフに充分な人員を割くことができないアパレル企業が、シーズンごとに膨大なファッションアイテムのコーディネートを考え、撮影を行うのは多大な負荷がかかる。そもそも少人数で運営するD2Cブランドが増えることも考えると、撮影コストは業務負荷を圧迫することになるだろう。そのために役立つのが「Clothes Swap」だ。

 2020年7月に発表されたアドビの調査でも明らかになったのが、オンラインとオフラインにおける消費者のニーズの違い。店頭には「商品との新しい出会い」や「店舗へ行くことそのものの楽しさ」を求める一方で、オンラインには手軽さやすばやく商品を比較できること、欲しいものが確実に手に入ることを求めているという。

 「Clothes Swap」は事前にデザイン画像を登録しておくことで、モデルの写真に自由に洋服をコーディネートして画像制作することができるコストやスタッフの負荷を低減しながら、バラエティに富む商品画像を提供できるようになる

 Clothes Swapの利用イメージ

Clothes Swapの利用イメージ。洋服の中から着せたいものを選択し(画像左)、
右側のモデルを選択すると(画像右)、モデルがその洋服を着た画像が作成される

 安西氏によれば、北欧の家具メーカーIKEAは既にこうしたコンテンツ制作を行っているという。

 「IKEAではアドビが昨年買収したAllegorithmic Labs社の3Dペイントツール『Substance(サブスタンス)』を用いて、75%以上の商品をCADデータから「Substance」上の3Dテクスチャーを貼り付ける手法で画像制作しています。同社ではほとんどスタジオでの写真撮影をしていないそうです。この手法が普及すれば、時間的コスト、作業コストを大幅に削減しながら、市場へ商品を投入するスピードを加速させることもできます」(安西氏)

 こうした手法は、今後長期化するコロナ禍において、3密となる対面撮影が難しいときや、非対面商談を行う際のバーチャルショールームの制作にも活躍するだろうと安西氏は考えている。また、今後はユーザーが自らの写真をアップロードし、商品画像を使って「着せ替え」することもスタンダードになるはずだと目論んでいる。

アクセシビリティをスコア化する

 ここ数年、SDGsの観点からもあらゆるユーザーにとって視認しやすいコンテンツを届けることは企業にとって重要な課題となっている。既に公共自治体のウェブサイトなどを中心に読み上げ機能が組み込まれているケースも増えてきた。

 とはいえ、コンテンツ量が増大する中ですべてのコンテンツについてアクセシビリティ(多くの人々が利用するための工夫や性能)を担保するのは難しいだろう。

 そんなときに役立つのが「Access Ace」だ。これはAdobe Campaignというマーケティングツール上で提供される機能で、視覚障害や認知機能障害のある方が認識できる画像を制作できているかスコア化してチェックできるようになるもの。

 Access Aceの利用イメージ
Access Aceの利用イメージ。コンテンツのアクセシビリティをAIがチェックし、スコアを表示する(画面右上)

 既にAdobe IllustratorやAdobe Photoshopには色弱の方向けのチェック機能がある。Adobe Dreamweaverにも、アクセシビリティを採点してスコア化する機能が搭載されている。こうしたクリエイティブツールに実装されている機能や国ごとのガイドラインをマーケティングツールにも組み込めば、手間をかけることなく様々な障害を持つ方にとって視認しやすいコンテンツが提供できるようになるのだという。

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この記事の著者

石川 香苗子(イシカワ カナコ)

ライター。リクルートHRマーケティングで営業を経験したのちライターへ。IT、マーケティング、テレビなどが得意領域。詳細はこちらから(これまでの仕事をまとめてあります)。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2020/09/03 09:00 https://markezine.jp/article/detail/34125

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