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迫るクリエイティブの民主化 アドビ開発中製品から見えた、コンテンツ制作の未来

 SNSやオウンドメディア、利用デバイスの多様化を背景にデジタル上の顧客接点は増える一方だ。それに加えて、Cookieの利用制限という新たな問題も加わり、企業は様々なコンテンツによって豊かな顧客体験を創出し、ユーザーと友好的なリレーションシップを築くことに力を注いでいる。様々なクリエイティブツールやマーケティングツールを提供しているアドビは、4月のオンラインカンファレンスAdobe Summit 2020で、これからのコンテンツ作りを切り開く開発中の製品デモを紹介した。アドビのプロダクトエバンジェリストを務める安西氏と市場開発に邁進する阿部氏から、ツールの開発意図を通じて今後の新たなコンテンツ作りについて聞いた。

最先端のソリューションを公開する「Adobe Sneaks」

 オウンドメディア、ECサイトふくめて、コンテンツ量も画像点数も増大の一途をたどり、ユーザーのニーズは多様化している。ダイバーシティへの対応も急務だ。すると現場のクリエイターやマーケターは膨大な作業量に忙殺され、コンテンツ制作だけで手一杯になってしまう。

 人力で対応しきれないコンテンツ制作業務について、アドビではAIやXRの力を活用してワークフローを劇的に改革しようとしている

 例年、「Adobe Summit」ではAIやXR(VR、AR、MRなどの総称)などを用いて開発中の製品デモを公開する「Adobe Sneaks」と呼ばれるセッションがある。ここでは社内のコンペを勝ち抜いた製品デモが披露され、その6割が実際に製品化。アドビのテクノロジーを体感できるセッションとなっている。

 今年の「Adobe Sneaks」では7製品が発表された。中でも、読者に合わせてウェブコンテンツを見つけやすくする「Snippets(スニペッツ)」、AIの力でモデルに服を自在に着せてしまう「Clothes Swap(クローズ・スワップ)」、ほんの数クリックでアクセシビリティを向上させる「Access Ace(アクセス・エース)」はコンテンツ制作に携わるマーケターにとってなくてはならない機能となるだろう。

記事コンテンツのタイトル・画像をパーソナライズする

 まず、「Snippets」はユーザーの興味関心に合わせて記事のタイトルや写真を自動で選択しパーソナライズを実現するAIを活用した機能だ。これまでもデジタルマーケティングの世界ではユーザーに合わせてバナーやタイトルの出し分けをしたり、ECサイトでレコメンド商品を変えたりということが行われてきたが、それをさらに進化させたものとなる。

 Adobe Experience Cloudのプロダクトエバンジェリストであり、ユーザーへ利用方法の提案を行う安西敬介氏は、「Snippets」について次のように説明する。

アドビ ソリューションコンサルティング本部 プロダクトエバンジェリスト 兼 シニアソリューションコンサルタント 安西敬介氏
アドビ ソリューションコンサルティング本部 プロダクトエバンジェリスト
兼 シニアソリューションコンサルタント 安西敬介氏

 「『Snippets』は従来デジタルマーケティングの世界で行われてきたABテストを、コンテンツマーケティングのその中身の領域まで広げたものです。オウンドメディアやECサイトにおいて、ユーザーに応じてコンテンツの記事タイトルやアイキャッチ画像まで、Adobe Senseiにより柔軟に変えられます」(安西氏)

 Snippetsの利用イメージ。ユーザーに応じてタイトルやアイキャッチ画像まで変えられる
Snippetsの利用イメージ。ユーザーに応じてタイトルやアイキャッチ画像まで変えられる

 オウンドメディアを持つ企業が増えつつある中、一つひとつのコンテンツがターゲットに届いていることを細やかに検証できている企業はなかなかないだろう。中には、せっかく来訪した読者にそぐわないコンテンツを提示して離脱を招いているケースもある。安西氏は同製品への手応えを次のように語る。

 「これからも企業が制作するコンテンツが増えていくはずですから、記事コンテンツのクリエイティブを出し分けられるようになることで、企業とユーザーが直接深いリレーションシップを築く手助けになるのではないかと考えています」(安西氏)

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この記事の著者

石川 香苗子(イシカワ カナコ)

ライター。リクルートHRマーケティングで営業を経験したのちライターへ。IT、マーケティング、テレビなどが得意領域。詳細はこちらから(これまでの仕事をまとめてあります)。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2020/09/03 09:00 https://markezine.jp/article/detail/34125

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