気象データ×企業のビッグデータで生活に寄り添う訴求を実現
――予報や指数に用いている行動予測や需要予測には、具体的にはどのようなデータを活用されているのでしょうか?
村田:当社の気象データに加え、気温変化による需要予測は、各企業様や研究機関と開発してきたノウハウやデータがあります。気温の変化や気圧の変化で、人がどのような行動をするのかを把握した上で、企業様のデータを分析することで、より精度の高い予測を実現しています。
コンビニを例に挙げると、25度ぐらいの気温までは甘いドリンクや炭酸が売れますが、もっと高い気温になると水がよく売れるようになります。このようなデータを活用すると、単純に「今日は温かい飲みもの/冷たい飲みもの」という指数を出すのではなく、「今日のおすすめはこの商品」などといった形で、商品ごとのレコメンドを出すことができます。
また、湿度や気温によってウイルスが増殖しやすいという情報を気象データと組み合わせることで、「食中毒予報」を出すことができますが、その際に「除菌にはこのアルコール製品が使えますよ」と伝えることができます。
――天気が人々の生活と深く結びついているからこそ、マーケティング活用の可能性も幅広いですね。
村田:はい。天気は暮らしの中で誰もが関わりのある要素です。特に、生活者との距離が近い小売業は天気との結びつきが強いところだと思います。また、暮らしをより良くするサービスとは相性が良いのではないでしょうか。そして私たちは「ウェザーニュースLiVE」のユーザー情報も活用することで、新たな需要予測や体感分析も実施しています。
番組制作の知見を活かしたコンテンツ
――気象データを基にした商品訴求を行うときに、どのようなことに配慮されているのでしょうか。
村田:スポーツで観戦者やファンをサポーターと呼ぶのにならって、私たちもユーザーのことをそう呼んでいるのですが、コンテンツを作るときは、サポーターにどう伝わるか、ということに常に気を配っています。商品と天気を無理やり結び付けるような訴求で、誤解があってはいけませんし、彼らの暮らしに寄り添っていないと「自分には関係のない情報だ」と離れていってしまいます。
そうならないように、自社で番組を制作してきた知見を活かしています。企業様からいただいた情報を基に、商品の特性がしっかりと伝わり、番組のユーザー層に受け入れられる企画に昇華させるべく、コンテンツ制作の打ち合わせは入念に行っています。
また、データ分析から予報番組の企画制作、番組運営、すべてを社内で行っているため、スタジオで商品を紹介するコンテンツに留まらず、ロケを交えたり、キャスターが体験したりといったアレンジも自在です。たとえば日産自動車様のX-TRAILとのコラボでは、リアルな紅葉前線を伝えることを目的に、キャスターがX-TRAILを運転して美しい紅葉を撮影。特別番組として放送しました。
――訴求したい商品の特性に合わせて、柔軟な企画・制作が可能なのですね。
村田:はい。当社には気象に関する専門家、コンテンツ企画・制作の専門家が揃っていますし、日頃ユーザーとコミュニケーションをとっていてファンも多いキャスターたちが、直接商品を紹介させていただく点にも強みがあります。
また、24時間365日常に生放送に対応している現場なので、企業様のタイアップコンテンツ制作も、ご相談からオンエアまで短い期間で対応しており、複数の企業様からスピード感を評価いただいています。