米国で浸透しつつある「ブランド適合性」の考え方
高橋:ここからは、ブランドセーフティーに関しておうかがいします。日本と米国を比べると、温度感には違いがありますよね。
Adam:そうですね。まず最初に言いたいのは、日米に限らず、国や地域によってブランドの安全性に関するニュアンスが異なるということであり、その背景には文化の違いが影響しています。米国では今、ブランドの安全性から進化した「ブランド適合性」の概念がますます注目を集めています。これはブランドを毀損する配信先に広告を出さないということだけではなく、配信先のコンテンツやプラットフォームが持つ潜在的な影響を考慮してキャンペーンを設計しよう、ブランドの特性やニーズに適合した文脈でメッセージを配信しよう、という考え方です。

高橋:そのようなトレンドに、御社はどのように向き合ってきたのでしょうか。
Adam:広告主と消費者の双方にとって良質な記事を見分け、そこに広告を配信できる技術を開発する。これが、私たちGumGumが解決を目指してきた課題です。
たとえば昨今、米国ではジョージ・フロイド事件や人種差別に関する記事が数多く配信されています。これらの記事は「殺害」や「暴動」といったネガティブな要素を取り扱っていますが、問題の本質を伝え、示唆に富む良質な記事も多くあります。別の例を挙げると、「shooting(銃を撃つ)」という言葉だけを見ると暴力的な内容に見えますが、全体を読むと「shooting for the stars(目標を高く持て)」という格言の中で使われている言葉かもしれません。
加えて現代は、今まで聞いたことのないような新しい言葉が一夜にして世の中を席巻する、変化の激しい時代です。その言葉は何を意味しているのか、良いことなのか、それとも悪いことなのかを判断し、そうした要素が含まれる記事であっても、良質な内容であればその記事に広告を出したいと思う広告主をサポートできる技術が必要とされています。
