「宅配ならピザハット」を目指して
日本ピザハット(以下、ピザハット)は1971年に第一号店をオープンさせ、宅配ピザ市場をけん引してきた。現在はブランドメッセージ「おいしいは、愛だ。」を届けるため、いろいろなチャネルを利用しながら活動を展開している。
登壇した薮内氏は、アルバイト時代も含めるとピザハット歴22年。入社後は店舗勤務、エリアマネージャー、マーケティングを歴任し、現在はデジタルマーケティング課の課長として、デジタル全般の管理運営に従事している。
現在「宅配ならピザハット」と第一想起してもらうことを最大の目的に、それまでのオフライン中心のプロモーションからデジタルシフトを図っていると薮内氏は言う。ではどのようにデジタルシフトを進めているのだろうか。その前にまず、ピザハットが辿った歴史が語られた。
チラシが最重要の時代から劇的に変化
いまから溯ること20年、世の中で少しずつデジタル化が始まっていた頃に、ピザハットでは電話を受けて受注し、ピザを作ってバイクで配達するシンプルなオペレーションを実施していた。訴求方法もチラシとテレビCMのみ。手元にチラシがないと注文できないため、チラシが最重要のチャネルだった。
そこから少し進んだ10~15年前、世の中がITバブルの真っただ中にある頃、少しだけデジタルシフトが始まった。訴求方法は変わらずテレビとチラシがメインだったが、PCからの注文が可能になり、プラットフォーマーとの協業も始まった。そうは言っても、当時の仕組みは注文が入ると店舗にFAXが流れるというアナログなものだったという。
5~10年前になると、本格的にデジタル化が進み、スマホでの注文が可能に。この頃にデジタルマーケティング課が創設され、デジタル広告の開始、TwitterやFacebookの自社アカウントの開設、ロイヤリティプログラムの開始など、様々なチャネルで消費者とのタッチポイントを作るようになった。また、受注形態も配達に加え、テイクアウトが主流なものとなっていった。
そして現在、使える決済サービスも増え、「Uber Eats」のような新たなプラットフォーマーも現れた。タッチポイントはさらに多様化・複雑化し、「より便利に、よりお得にお客様に寄り添った対応が必要」との考えを大事に活動するようになったと薮内氏は話す。時代のニーズに合わせたサービスをいち早く提供する体制も整え、たとえば3月には非対面接触を希望するお客様向けの「置きピザ」を、8月には乗車したままでピザを受け取れる「お車ピザ」を開始した。