顧客の検討フェーズが“再燃”した瞬間を捉えるには?
――「隠れ検討層」の興味・関心が再燃したタイミングは、どのように捉えることができますか。
村尾:再燃キャッチにはMAツール(以下、MA)が有効です。たとえば、当社の「SHANON MARKETING PLATFORM」ではWebトラッキングという機能が搭載されており、いつ、誰が、どのWebページを閲覧したのかわかるようになっています。これを使って、情報収集段階だったユーザーが自社サイトへ再度アクセスした瞬間をキャッチすることが可能です。
興味・関心の再燃が確認できたお客様については、順にスコアリングを行います。例を挙げると、過去に名刺交換をしたことのあるお客様は10点、ウェビナーに参加してくださったお客様は20点といった具合です。このスコアを基に、一定の点数以上お客様へアプローチしていきます。
村尾:また、BtoB商材における「隠れ検討層」のお客様は、部課長クラスの方より現場でツール選定を行うご担当者であるケースが非常に多いです。そこでお勧めなのが、紙のDMを送ることです。これにより、現場のご担当者が上層部や他のメンバーにも展開しやすくなります。その後はメールでフォローアップして、その状況を自社内に通知させるという設計も可能です。
村尾:その他、「隠れ検討層」のお客様の購買フェーズが上がるトリガーとして「時間」の概念があります。これにはMAとSFAを連携することで、最後の接触から8ヵ月経ったお客様に、紙のDMと自動送信メールで「お久しぶりです」などとアプローチすることが有効です。
受注企業の8割以上が「関心引き上げウェビナー」を視聴
――情報収集フェーズのお客様の変化を逃さず、効果的な体験設計を行うことが重要なのですね。続いて、マーケティングDXを推進するポイントの二つ目、「関心引き上げウェビナー」について教えてください。
村尾:セミナーや展示会など、リアルで集まることが難しい状況であっても、対面によるコミュニケーションを効果的に取り入れることは欠かせません。コーネル大学で行われた実験によると、まったく知らない人に同じ内容でコミュニケーションを取る場合、メールに比べて対面のほうが34倍も成功率が高かったという実証結果が出ています。
そこで私たちがお勧めしているのがウェビナーですが、内容は購買フェーズによって異なります。たとえば、「興味・関心層」には、自社の課題に気づいていただく「関心引き上げウェビナー」が実施できます。一方、自社の課題が顕在化している「比較・検討層」には「製品紹介ウェビナー」で、その課題を解決できるかをイメージしてもらうことができるのではないでしょうか。
――御社でも積極的にウェビナーを開催されていますよね。
村尾:はい。当社ではコロナ前から1年以上にわたって、購買フェーズを引き上げる「関心引き上げウェビナー」を実施しています。その結果、受注に至った企業の8割以上が1年以内にこのウェビナーを視聴しているということがわかってきました。
村尾:一般的に、ウェビナーを行うのはマーケティング担当の方々が多いと思いますが、当社ではインサイドセールスも含めて、様々な部署が連携して、週1~2回のペースでウェビナーを開催しています。
その中で得た気付きは、「どのような顧客体験を提供するか」という設計が重要だということです。昨今、ウェビナーに取り組む企業様は増えていますが、プロセスを回すことが目的になってしまっているという状況も少なくありません。ただメールを送って、ウェビナーに送客して、そこで得られた情報をセールスへ展開するだけでは、コロナ前にありがちだった「失敗するパターンの展示会」と変わらないのではないでしょうか。