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MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

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MarkeZine Day 2025 Retail

COLUMN

コロナ禍だからこそ取り組むべき、デジタル活用で顧客の習慣を作る5つの手法

習慣的利用を促すために必要なこととは?

3.利用体験強化<利用時の習慣化>:アプリやIoTを活用して、商品利用時の体験を強化する。商品の付加価値を高め、商品利用を習慣化させることが狙い。

 アメリカで人気の自宅フィットネスサービス企業は、エアロバイクを購入したユーザーにオンラインエクササイズの受講コースをサブスクリプションサービスとして提供しています。提供されるライブクラスでは、エアロバイクに設置されたディスプレイを通じて、参加者同士で順位を競い合いながらみんなでエクササイズを楽しむことができ、同時に数千人が受講するほどの人気となっています。

 単に商品を売るだけではなく、デジタルを通じて商品の利用体験をより強化するサービスを提供することで、商品の利用が習慣化するという非常に良い事例だといえます。また、利用頻度を増やすためのサービスそのものも販売しており、さらなるビジネスにつなげている点も参考になります。

利用後に愛着が深まる習慣化の仕組みを作る

4.利用ログ管理<利用後の習慣化>: 商品の利用ログをデータとして管理・可視化する。利用状況を振り返る習慣を作ることで、継続的な商品利用を促すことが狙い。

 ランニングの際に、どれだけ走ったかが記録されていき、それをアプリ上やSNSでシェアできるといったサービスのように、アクションの成果を可視化してくれることは強力な習慣化の後押しになります。シェア機能などで第三者からコメントを得られれば、さらに強い動機付けになっていきます。

 日々の繰り返しの可視化ではなく、思い出を振り返るきっかけを提供するといったケースも考えられます。一部のSNSやアルバムアプリでは、1年前の写真などを自動でキュレーションして表示する機能を搭載しているかと思います。思い出を振り返る機会を与えられることで、そのサービスの価値をより強く感じ、ますます習慣的に利用しようと思えるのではないでしょうか。たとえば、こうしたサービスを旅行会社のアプリが提供するといった試みがあってもいいかもしれません。

 商品の利用目的に合わせて、ログの管理や可視化を設計することで、商品の価値をより強く感じ、日々の利用を習慣的に繰り返す中で、より一層愛着が高まっていく仕組みを作ることが理想的です。

利用者が声を上げられる習慣を作る

5.コミュニティ運営<シェアの習慣化>:商品利用者やファンのコミュニティを形成する。商品を軸にした交流を通じた、利用者による自発的な利用や購入の習慣化が狙い。

 熱量の高いファンが集まっているブランドでは、SNSの公式ページなどがファン同士の交流場所となっています。企業や商品の公式コミュニティを作ることで、ファンによる良質な情報が集まり、習慣作りの大きな武器となっていきます。

 アメリカ発のメガネのD2Cブランドでは、試着品を5種類届けて、SNSにどのメガネが一番似合うか投稿させるという仕組みを作り、自社の情報を大きく拡散することに成功しました。並行して、自社のアカウントに問いかけるとプロのアドバイスを返すサービスも提供しており、隙がありません。

 このケースは厳密には購入者によるコミュニティではないですが、この仕組みで似合うメガネをSNS上の知り合いに選んでもらおうという人を増やし、メガネ購入の際の新たな顧客習慣を作っています。利用者や知り合いの生声の信頼性をうまく活かすことで、顧客の習慣を作り出すことができることを示しています。

次のページ
「デジタルによる習慣化マップ」で効果的な手法を見極める

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この記事の著者

博報堂ヒット習慣メーカーズ(ハクホウドウヒットメーカーズ)

 何度も買いたくなる「仕組み」づくりをしたいという想いをもった博報堂の社内プロジェクト。マーケティング戦略から制作、リアルイベントからシステム開発まで、多様な専門性をもつ精鋭メンバーが揃った組織横断型のチーム。2020年に『カイタイ新書 -何度も「買いたい」仕組みのつくり方-』(秀和システム)を刊行。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2020/10/22 08:00 https://markezine.jp/article/detail/34548

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