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MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

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MarkeZine Day 2025 Retail

D2Cモデルに学ぶ!顧客起点マーケティングによるEC生存戦略

ヒット商品を生み出し続けるI‐neのブランドマネジメント 自社の強みを再確認できたワケ


自社の強みを再確認、再構築

村岡:Idea(アイデア)の次はPlan(企画)ですね。プランニングはどのように進めていかれるのですか?

アライドアーキテクツ株式会社 CPO兼プロダクトカンパニー長 村岡弥真人氏

小松:プランニングでも商品の企画だけでなく、コンセプト調査から商品設計・試作・販売プランの作成・KPIの設定まで行い、この段階で販売戦略もほぼ確定させます

村岡:この段階での販売戦略はどのくらいの期間の設計をされるのですか?

小松:新ブランドの立ち上げですと、年間計画で狙うべきマーケットシェアを作ります。ただ、最終的には「テスト」での結果次第なので、単年の販売計画を予算中心に予実管理していくという感じですね。既存ブランドの1SKU(Stock Keeping Unit=最小管理単位)追加だと、それまでの実績ベースを元に3年ぐらいを高い精度で計画することができます。

村岡:Test(テスト)では具体的にどのようなことを検証されるのでしょうか?

小松:テストに関しては、オンラインでランディングページを作り、最小ロットでテスト販売を行います。ダイレクト広告をメインに、Facebook、Instagram、LINE、Yahoo、Google、モール内等へ出稿し、CPAやレビュー、口コミなどを見ていきます。

村岡:御社では最初の生産ロットを小さくすることで、挑戦的な企画にも取り組めるようにされているそうですが、従来の生産ロットとどのくらい規模感が違いますか?

小松:最小ロットは従来の100分の1程度ですね。弊社でも以前、大量生産・大量発注の戦略を取っていた時期がありました。しかし、大量に在庫を抱えてしまうと、オンラインではさばききれず、売り方が限定されてしまいます。結果、テレビCMなどマス中心において広告投下をした上での大量販売になり、原価が落としきれず利益が出づらい、また、顧客の声を反映させるプロダクトの改善という方法も取りづらくなり、ブランドをスケールさせることができなかった事例もあります。

 こうした事例から、「IPTOS(イプトス)」が十分に機能するよう全社的に仕組みを整え直しました。Test(テスト)では、最初に期間と投資金額を設定し、最小ロットをテスト販売してKPIを達成できなかったら撤退という明確なルールを徹底しています

自社の基準で「初動」を採点、オーガニックの評価を大事に

村岡:KPIは複数あると思いますが、一番重視されるのは何でしょうか?

小松:CVRを重要視しています。CVRが低い商品は、結局、ユーザーから受け入れられていない商品ということなので、店頭販売しても手に取ってもらえる確率が低いだろうという理解ですね。CPAももちろん気にしますが、LTVをかなり重視しています。

 CPAだけをひたすら追い続けると、お客様をないがしろにしてしまうことになりかねません。その結果として、後々クロスセルなどの展開が難しくなることも考えられます。よって、テスト段階からCRMや同梱のコミュニケーションにも力をいれて、リピートの検証をしています。

村岡:レビューや口コミもKPIとして見られるとのことですが、具体的にはどのような施策を打って、どう評価されるのでしょうか?

小松:レビューというと、一般的にはいわゆる口コミサイトの投稿を想定されると思いますが、弊社ではAmazonと楽天を重点的に見ています。自然に投稿された商品に対するレビューだけのスコアを集計して、過去の実績に照らして評価しています

村岡:評価を上げようとか、ランキングを上げようというより、まずは御社のブランド活動における初動の採点結果として、次のフェーズに行けるかの評価指標にされているということですね。この検証フェーズで、InstagramなどSNSの取り組みは何かされていますか?

小松:テスト販売のLPには必ずUGCを掲載しています。やはり、実際の商品体験を見ていただくのがとても重要で、これはフローに必ず入れる施策です。

村岡:一連の検証で規定のKPIを達成した商品だけが、次のOffline/Online(EC/一部小売での販売開始)、Scale(スケール)に進めるわけですね。確かにテストまでかなりしっかり取り組まれているからこそ、このシステムを導入することによって正式発売後のヒット確率を高めることができるのだとわかりました。

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サブスク型商品は自社ECメイン・オフラインでは販売せず

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この記事の著者

村岡 弥真人(ムラオカ ヤマト)

大手ガラスメーカーを勤務を経て2012年にアライドアーキテクツ入社。2014年よりSNS広告に特化した広告代理事業を立ち上げ、自社最大の事業まで事業拡大を行う。2016年にUGC Centric Creative Platform "Letro"の提供を開始、Facebook及びInstagramのオフィシャルパー...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2020/11/04 10:35 https://markezine.jp/article/detail/34599

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