企業コミュニティの4つの価値
水野:企業の方々は、コミュニティにどんなメリットを求めているのでしょうか。
姫田:企業コミュニティのメリットは、次の4点だと考えています。

水野:一つ目のメリットですが、これはSNSでは代替できないのでしょうか?
姫田:私はSNSだけでは不十分と考えています。SNSはリーチと認知は得られますが、良好な信頼関係を作るためには企業への理解、共感、情報提供の場はコミュニティが最適です。また、SNSで発信・反応する消費者と企業コミュニティでアクティブに発信・共創する方が異なることも、これまでのデータからわかっています。
水野:2つ目の双方向コミュニケーションとは。
姫田:マーケティングにおいて重要なことは「行動」「心理」の2つを理解することです。「行動」はビッグデータ活用で分析できるようになりましたが、「心理」まではなかなか難しい。自社コミュニティでの双方向コミュニケーションであれば、顧客との密接な関係が作れ、顧客の本音を得ていくことができます。
また、自社コミュニティに参加してくるユーザーは、企業と深くつながっているためロイヤリティが高く、ひいてはLTVも高い傾向が、弊社が手掛ける多くのコミュニティで証明されています。自社マーケティング活動において、強い味方にすることができるのです。
水野:自社のロイヤルカスタマーと直接コミュニケーションをとり、協業のような密な関係性を作り出すことができるのが、3つ目のメリットですね。
姫田:はい、そして4つ目のメリットは、コミュニティを通じて、ユーザーの同意を得たうえでオーディエンスデータを把握し、商品に対する意見や評価、UGCといった質的なデータも得られます。これらをマーケティング活動に活用したいと考える企業は多いのではないでしょうか。
水野:企業コミュニティを通じて長く継続的につながり続けることで、新たな信頼関係が作れるということですね。
拡大する企業コミュニティに求められる役割
水野:オフラインで実施していた施策が担っていた役割を、企業コミュニティに求める動きもありそうですね。
姫田:そうですね。実際に、資生堂さんでは、長期在宅や外出自粛により店頭でのサービスを受けにくくなってしまった生活者に向けて、「おめかし会議ファンコミュニティ」と連携させた双方向型オンラインセルフトリートメント体験プログラムを実施していました。
参加したコミュニティ会員は、自宅でリラックスしながらトリートメントプログラムを受けることができ、ブランド担当者からきめ細やかなケアを受けることができたとのこと。また、既存のみならず新規のお客様にも参加いただき、新しい接点も獲得したようです。

姫田:このほかにも、日本航空さんの旅コミュニティ「trico」でも、継続的にこのようなプログラムが実施されています。