規制に対応したデータドリブンマーケティングを実現するには?
これまで2回にわたって、ポストCookieの時代に起こる変化について伝えていきました。アドテクノロジーやデータ活用において3rd Party Cookieが果たしていた役割や価値はとても大きく、今まで当たり前にできていたデータ分析やデータ活用ができなくなる可能性があります。
また、アドテクノロジー以外の領域についても、アクセス解析などで3rd Party Cookieを活用してきたかもしれません。多くの会社にとって、業務のデジタル化を推進し続けることは今後企業が成長していくために不可欠であり、そのために様々なデータを収集していく必要があります。
本記事では、データ活用やデータ収集が困難になる今後の対策としてどのようなソリューションがあるか、主なポストCookieのソリューションを5つに分けてご紹介していきます。
・共通IDソリューション
・許諾管理プラットフォーム(Consent Management Platform)
・リアルタイムオーディエンス解析サービス
・大手プラットフォーマーが提供する解析基盤
・今後収集可能なデータを活用したサービス
サイト横断のターゲティング、計測に必要な共通IDソリューション
3rd Party Cookieの重要な役割の1つにドメインをまたいで共通のIDであるという側面があります。これにより、サイトAで得られたデータをサイトBで活用することができ、リターゲティング広告やオーディエンスターゲティングと言われる広告におけるターゲティングが実現していました。
また、異なるサイトで発生をしたインプレッションをトラッキングすることでサイト上でのコンバージョンに至るまでの過程を計測するアトリビューション分析などを可能にしていたのも、3rd Party Cookieです。
こういったサイトをまたいだターゲティングや計測を行うための3rd Party Cookieの代替手段として、3rd Party Cookie以外のブラウザの共通IDの開発を進めている企業がいます。彼らは大きく分けると2種類の方法で共通IDソリューションの作成を行っており、1つ目は「メールアドレスなどの人に紐づく情報を元にしたソリューション」。2つ目は「機械学習などを用いた統計的なアプローチによる同一ブラウザの推定」です。
メールアドレスなどの人に紐づく情報を基にしたソリューションは、ブラウザの種類や環境に依存せずにアクセスしてきた人が何者かということを把握することができます。そのため、継続的にいかなるデータ収集環境でもデータを使うことができるという点ではメリットが大きいです。
一方、データを提供してくれる人に対する許諾やサイト上でのメールアドレスの入力を必要とするため、今まで3rd Party Cookieが取得できたブラウザの量に対してデータ量が大きく減少することが考えられます。また、データを収集するためにはそれに対する対価を支払う必要になるため、何らかのインセンティブ付与やサービス提供を行う必要があり、データ収集に対するコストが高まっていく可能性があります。
2つ目の機械学習などを用いた統計的なアプローチによる同一ブラウザの推定は、1st Party Cookieやその他のブラウザから収集できる情報を用いて推定を行います。そのため、データ量という側面ではメールアドレスなどを用いたソリューションと比較して、多くのデータを収集することが可能になると考えられます。
デメリットとしては、推定であるため一定割合で間違ったデータが含まれてしまうことです。もちろん、精度が100%に近すぎるとプライバシーの問題などが発生して3rd Party Cookieを使うこと自体の課題が発生してしまうのですが、精度が限りなく100%ではないと利用できない場面では活用に値しない可能性があります。
共通IDソリューションは今までの3rd Party Cookieを活用したエコシステムを継続的に使うことができるというメリットがある反面、ボリュームや精度の問題がまだ多いのが現状です。そこのメリット・デメリットに向き合って導入を検討する必要があります。