CMPが果たす役割とは?
許諾管理プラットフォーム(Consent Management Platform、以下CMP)は、EU圏内でサービスを提供している企業でよく見られるサイトの下部から表示されるポップアップのようなものです。こちらのサービスは、主にGDPR(EU一般データ保護規則)に対応するためにユーザーからデータ収集や活用の同意をもらうための仕組みとして開発されてきたもので、前述のメールアドレスなどを基にしたデータ収集や今後の法整備でデータ収集の同意が必要になった際には、このようなサービスを併用してデータ収集を要される可能性があります。

このサービスは、GDPR(EU一般データ保護規則)に対応するために必要不可欠なものになりますが、法律に合わせた形で適切にデータを継続的に収集していくという観点も必要です。
たとえば、ポップアップ内に「サイト閲覧を継続した場合に自動的に許諾したこととする」といった内容を入れているサイトが以前からあるのですが、この表示方法は、今後同意を取得する方法として適切ではないという意見もあります。その場合、この内容で取得したデータは適切に取得したデータではないため、過去に遡って削除を要される可能性があります。これらのデータ収集はプライバシーポリシーや法律などに沿って行う必要があるため、継続的なデータ収集内容や方法についての議論をしていく必要がありますし、国ごとに法律が異なるため、各国に合わせた対応方法も決めていく必要があります。
CMP導入の際には、自社で行っているサービスがどの国で提供されているか、継続的に自国・他国の法律の変化に対して対応することができるかなどをチェックする必要があるという点を留意しておく必要があります。
リアルタイムオーディエンス解析サービスとは?
これまでにご紹介した2つの内容とは異なり、ID自体を持たずにサイトにアクセスした瞬間にアクセス元のブラウザを利用している人が何者かを機械学習などによって類推するのが、リアルタイムオーディエンス解析サービスになります。こちらについてもあくまで類推データを活用するため、精度が100%にならないという問題がある一方、ブラウザを介して様々なサービスとデータをリアルタイムに連携できるというメリットがあります。
今後、データ収集方法の制限により、データを集めるという行為がより困難になる可能性もあります。その場合はデータ収集の進化を諦め、類推方法の進化を目指すことが求められる未来が訪れるかもしれません。
リアルタイムなオーディエンスの解析機能はそういった外的な要因を受けづらい方法として有力な手段の1つですし、様々なマーケティング手段に対して継続的に活用していくことができるという点ではメリットが大きいです。
ただし、リアルタイムオーディエンス解析サービスは共通IDソリューションで紹介した類推以上にリアルタイム性がある一方、収集することができるデータに制約が多いです。そのため、精度が低いということをいかに許容するかということはサービス利用時に検討する必要があります。