「自粛」の程度や理由は一様ではない
10月27日、EYストラテジー・アンド・コンサルティングは「日本の消費者の行動変容と企業に求められる対策」について、オンライン記者発表を実施した。
はじめに同社 エクスペリエンスデザインリーダー ビジネストランスフォーメーション パートナーの吉本 司氏が調査の意義を説明。「消費者はどのような考えの下で消費行動を切り替えているのか。年齢層、年収、性別、居住地域、リモートワーカーであるかどうかといった属性に注意しながら見ていくと、それぞれに違った背景があることが見えてきます」と述べ、変化を正しく捉える必要性を強調した。
続いて同社 ビジネストランスフォーメーション ディレクターの白石 隼人氏が、調査結果を概説した。調査は以下の3点をテーマに、首都圏、近畿、中京エリアに居住する20~75歳の男女7,000サンプルに対し、2020年8月21~31日に行われた(※詳しい調査概要は3ページ目に記載)。
・消費者はどのように行動を変容させているのか
・どのような人が、なぜ行動を変容させているのか
・消費者から共感を得て好意的に支持されるために、企業が取るべきアクションとは
消費行動の推移:スーパー、百貨店、外食で異なる特徴が
初めに共有されたのは、消費行動の変化とその理由だ。調査では、小売業とサービス業について、昨年の下半期の利用頻度、緊急事態宣言下での利用頻度、そして今年の下半期における利用意向を尋ね比較した。
それによると、小売業(コンビニ、スーパー、家電量販店など:グラフ左側)は、宣言下は落ち込みが見られたものの、下半期の利用意向については回復傾向を示した。一方、サービス業(ジム、外食、レジャーなど:グラフ右側)の落ち込みは小売業と比べて激しく、下半期も利用を控える回答が一定を占めた。Go Toキャンペーンでどれだけ回復が見られるのか、追跡調査が待たれる。
また「利用を減少させる」と回答した人にその理由を聞いたところ、業態に応じて異なる傾向が見えてきた。
昨年の下半期と比較して「利用を減少させる」と回答した理由
【スーパー】
利用を控える人は比較的少ないが、減少の理由として「感染への不安感」が目立った
【モール・百貨店・デパート】
月に数回程度と頻繁には利用しない人々が利用を減らす傾向
「節約意向」や「オンラインで代替可能」という理由で利用を減らしている割合がやや高い
【外食・カフェ】
女性および60代が特に利用を減らす傾向
「感染への不安感」から利用を控える人が多い
つまり「自粛」の程度や理由には、利用する業態や人々の属性に応じてグラデーションがあることに注意する必要がある。