展示会のマンネリ化が課題に
MarkeZine編集部(以下、MZ):今回の記事では、外食向けに業務用厨房機器の輸入・製造・販売を行っているFMIの副社長である松野さん、営業企画に携わる田中さん、CRMやプロモーションを担当する高橋さんに、御社のBtoBマーケティングについてうかがいます。
御社は元々、2019年ごろからBtoBマーケティングの取り組みを強化してきたと聞いています。その背景を教えてください。
松野:弊社の販売数の65%近くが販売代理店によるもので、ユーザーと直接つながる機会がなかったため、展示会に力を入れていました。しかし、長年自前で出展していると、展示の仕方がワンパターンになり、現場スタッフのマンネリ化も進んでいました。
MZ:ワンパターンな展示会とは、具体的にはどのような状態だったのでしょうか。
松野:我々が展開する様々な商品をできるだけ多く見せようとしていたんです。ただ、それではダメなのではと、うすうす感じていました。その中で、高橋の前任がコニカミノルタジャパンのセミナーに勉強で行っていたんです。
そこで、同社が展示会企画・設営のフォロー含めたBtoBマーケティングの支援をしていると知り、これは、展示会の新しいパターンを模索するのに良いのではと、協力をお願いしました。
第三者が入ることでPDCAが回るように
MZ:田中さんは、営業企画として展示会に携わっていたと思うんですが、コニカミノルタジャパンに対してどのような印象がありましたか。
田中:正直最初はコピー機の会社だと思ってましたね(笑)。ただ、お話を聞いてノウハウや知見を持ったスタッフの方がいるのはわかりました。
我々は当時BtoBマーケティングに関する知識やスキルもなければ、専門部隊も存在していませんでした。展示会にも数多く出展してきましたが、事故なく無事に終了すれば合格点、と思っていた。この出会いは、我々のBtoBマーケティングを推進する上で、非常に重要な転換点だったと思います。
MZ:実際に展示会の企画・設営のフォローからお願いしてみて、どのような変化がありましたか。
高橋:展示会でのPDCAがきちんと回せるようになりましたね。これまで我々は展示会に数多く出展しており、実行部分はきちんとこなせていましたが、その他の企画や分析、改善がおざなりでした。
しかし、コニカミノルタジャパン協力のもと展示会に出展するようになってからは、各展示会における名刺獲得数などのKPI設計から事後の振り返り、その後の改善まで徹底できるようになりました。第三者の目が入ったことで、何ができていないのかの理解、それに対する改善案の見える化が進んだと思います。
松野:コニカミノルタジャパンに支援を受けようと思ったのは、展示会ブースのデザインが素敵だったから、というのが一番だったのですが、当日運営時のフォローにも非常に助けられましたね。
たとえば、ある展示会に2日間出展したときも、1日目の反省会で「ここは直したほうがいい」という部分をはっきりと指摘してくれました。自社だけだと「できなかったけど、しょうがないよね」と流してしまっていた部分をきちんと見つめさせてくれました。
展示会の改善が進み、デジタルマーケティングも強化
MZ:展示会で得られたリードは、どのように活用したのでしょうか。
高橋:メールマガジンを中心とした情報提供ですね。ユーザーに対し「他にもこんな商品がありますよ」とPRする形で複数回配信しています。
ただ、このような情報発信もこれまではできていなかったんです。そのため、メール配信ツールの使い方やメール文面の作成のコツを、コニカミノルタジャパンの方から教えていただきました。今でも様々なアドバイスをもらっています。
MZ:元々得られたリードを活用したデジタルマーケティングをしていなかった、ということでしょうか。
松野:ときどき使うことはありましたが、正直効果があるのかと不安視していたんです。しかし、昨今のデジタル化の波を考えると、舵を切らなければいけないときに来ていると思い、デジタルマーケティングに関する取り組みも強化しました。
最近では、お客様に対するメールマガジンの配信方法も変化しました。各機器のターゲットごとにメールの種類を用意して出し分けなども行っています。
MZ:メール以外に、デジタルマーケティングで行っている取り組みはありますか。
高橋:SNSの活用とリスティング広告の運用ですね。SNSに関してはFacebookページの活用とInstagramアカウントの運用を製品カテゴリ別に始め、媒体ごとに配信する情報を使い分けています。リスティング広告も、コニカミノルタジャパンのフォローのもと運用改善しています。
MZ:一足飛びにBtoBマーケティングのイロハを覚えていく御社ですが、新型コロナウイルスで状況も変わったのではありませんか。
高橋:そうですね。展示会・セミナーが開けなくなってしまったので。ただ、そこもウェビナーの対応などをいち早く始めました。その他にもWeb上で展示会のようなことができないか、コニカミノルタジャパンに相談しています。我々は会社内のテストキッチンで内覧会なども行っていたので、それのデジタル化も検討しています。
FMIのブランドが最大限活かせるように
MZ:2019年からBtoBマーケティングの取り組みを強化したことで、どのような成果が得られましたか。
松野:展示会を計画的に実行できるようになったのは非常に良かったです。最近では展示会に関するマニュアル作成なども田中が中心に行っており、属人化しない仕組み作りもできるようになりました。
MZ:マニュアルには、どういった内容を盛り込んでいるんですか。
田中:展示会の主旨から始まり、シフトの体制、各商品の訴求ポイント、コストに対する目標KPIの設計などですね。結果はまだこれからですが、今後リアルの展示会も徐々に動いてくると思うので、活用できると考えています。
MZ:プロモーションなどを担当していた高橋さんはいかがでしょうか。
高橋:社内の意思決定がスムーズになったことですね。これまでは、新しい取り組みをしようと思っても実績がないので上司を含め検討が難しかったんです。しかし、コニカミノルタジャパンの方が同社の実績をベースに施策の意味などを説明してくださるので、弊社がやるべきか・否かの判断がしやすくなりました。
さらに、メルマガの開封率も、コニカミノルタジャパンがご支援されている他の企業と比べても高かったと聞いています。FMIというブランドが市場に定着しているので、送れば一定の反応が得られるとは思っていましたが、ここまでブランドの力を活かせるとは想像以上でした。
松野:あと、新型コロナウイルスの影響を受けて始めたウェビナーの調子も非常に良いです。今の状況下で、現地セミナーをすると10~15人しか入れることができませんが、ウェビナーでは毎回30名ほど参加いただけています。
我々は、社内でコーポレートシェフ、パティシエによる機器のデモンストレーションなどを年間200回近く行ってきましたが、どれも弊社の拠点がある東名阪での開催でした。しかし、ウェビナー対応によって参加者の範囲が全国に拡大しました。
このような対応がスムーズにできたのも、コニカミノルタジャパンと一緒に取り組みを行った影響が大きいと思います。
数年先だったかもしれない未来を今手にできた
MZ:今回コニカミノルタジャパンと一緒に取り組んでみて、得られた気づきや知見はありますか。
松野:展示会や弊社から発行する販促物やメールマガジンが、大きく変わったので、コニカミノルタジャパンのように外からの新しい刺激を入れることの重要性を学ぶことができました。
田中:大きく変わったと松野からもありましたが、本当に180度展示会やその他施策に対する見方が変わりましたね。BtoBマーケティングを始めたいと思っても、どう始めたらいいか考えつかないと思うんですが、そこを伴走することができました。
もしコニカミノルタジャパンにお願いしていなくても、デジタル化に取り組んだとは思いますが、今回の取り組みでそのスピードが加速度的に早まりました。社内のマーケティングに対する期待値やモチベーションは非常に大きくなったんではないでしょうか。
高橋:BtoBマーケティングの支援をお願いするときは、自分たちと同じ目線で動いてくれる企業とだと上手くいくというのが、今回での学びですね。
コニカミノルタジャパンは、自分たちがこれまで汗水流して泥臭くやってきたことをノウハウとして落とし込んでいる印象がありました。そのため、一般的なコンサルとは違うと感じましたね。
田中:背伸びしていないんですよね。まったくBtoBマーケティングらしいことをしていなかった我々でも正しく実行できるプランを提案してくれました。
弱点をつついた助言のもと、BtoBマーケを進化
MZ:年間できちんとセミナーなどを行い、業界内でもブランド力のある御社と、BtoBマーケティングの知見を持つコニカミノルタジャパンが組んだからこそ、成果もついてきたのだと感じました。最後に、今後どのような取り組みを行っていきたいかについて、教えてください。
松野:今後もコニカミノルタジャパンのノウハウを吸収して、BtoBマーケティングの取り組みを進化させていきたいと思います。
高橋:コニカミノルタジャパンの方は、いい意味で我々の弱点をつついた提案をしてくれます。今後も我々の課題に対しご意見をいただきたいですね。
田中:我々がやりたいことに対して、コニカミノルタジャパンの方は様々な方向から提案をしてくれます。もちろん、費用対効果を鑑みてどこまで具現化できるかは未知数ですが、今後もご提案いただきながら、一緒にFMIのBtoBマーケティングを進化させていきたいです。