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Disruptionとは何か 〜ニューノーマルをつくる破壊的思考法〜

破壊的アイデアはどのように生まれるか?経営者とクリエイターに共通する思考法

“考え、壊し、生み出すこと”が生き残るためには欠かせなくなる

田貝:コロナによって「今までの当たり前」が通用しない世の中になっていますが、今後のニューノーマルな社会はどんな社会になって、そのなかでアイデアはどんな役割を果たすと思いますか。

近山:今暫定的に思うこととして、コロナ前後がどうかというよりは、コロナを経験した記憶を自分の経験値にできる人と、できない人の間で相当の差が生まれるだろうと予想しています。

 コロナ禍に色々な経験や想いを得ながらも、ポジティブに前を向いている人が、打たれ強い人間になるし、そうした人達が作る社会は、必ず竹のようにしなやかに形を変えていく強さを持つはず

 そのなかで世の中を変えるために出てくるアイデアもあると思うのですが、それ自体が着火剤のようなものとして、そのアイデアに刺激を受けた人にどんどん飛び火していく。そういうアイデアを生み出せる存在に、僕自身がなれたら最高ですね。

関谷:僕は、“実力の適正化”がされるようになるとみています。端的にいうと、考えない・実行しない・壁を乗り越えられない人は置いていかれ、強い人たちが勝つ実力社会になるということです。

 そのなかでアイデアは、混沌とした状況を生きる武器のようなもの。コロナ前の日本社会は保守的で、何も考えなくてもとりあえず困らない状態がつくれていたかもしれませんが、それが難しくなった今、何かを考え、壊し、生み出すことが生き残るために欠かせないと思います。まさに進化論の時代です。

田貝:最後に、本日のお話を総括して感想をいただけますか。

近山:今日関谷さんとご一緒して、お話しされる言葉に人を惹きつけるパワーがあると感じました。コピーライターに近いというか、そこに勝手に共通性を感じました。

 Disruptionに至るまでの最初のステップに、「Convention(=既存の市場やプレーヤーを見渡し”破壊すべき既成概念”を発見する)」がありますが、それってきっかけは、文句や不満の声からだったりする。それをただ言っているだけでは文句のままだけど、言葉によってはアイデアにまで持っていける。

 だからこそ、言葉の力が大事だし、クリエイターとして僕はその力を信じたいと思っています。

関谷:僕たちに共通することとして、常に自分にハードルを課してそれを乗り越えることが、アイデアを生み出す習慣になっているように感じました。高いハードルというのは、多くの人が嫌がるものだし、逃げてきたもの。

 ですが今コロナという人類共通の高い壁ができたことで、そうした人たちも乗り越える必要ができてしまいました。今後さらにその状況は厳しくなると予想できるので、今のうちから逃げずに考えること、アイデアを生み出すこと、行動のPDCAを回すことをしていかないといけない。物事や世の中の流れに流されるのではなく、自分の頭で考えることが大事なのだと思います。

取材後記:「制約」と「安心」のバランスから破壊的アイデアは生まれる

田貝:今回「破壊的アイデアはいかに生まれるか?」というテーマで対談いただいたお二人の話で一貫して共通していると思ったのは、「壁と信頼関係」といった一見相反する性質のものをそのいずれかではなく「どちらも」共存させるないしは使い分けることを大事にしている点でした。

 新型コロナウイルス感染症拡大によって様々な制約が生まれ、社会にストレスがかかっていると感じている方は多いと思います。では、そのストレスをどう受け取るかについては大きく判断が分かれるのではないでしょうか。「今までの当たり前を取り戻そう」としたり、「何もせずにやり過ごそう」と現状維持をする人もいれば、「これを機会に新しいことをやってみよう」と前向きに捉える人もいるはずで、言わずもがなニューノーマルを作るのは後者の人となります。

 では、「新しいことをやってみよう」と思う人が誰しも破壊的なアイデアを生み出すことができるかというと、それだけでは足りません。そこには、皆がネガティブに感じている社会的かつ外的な制約を、「自らが乗り越えるもの」とポジティブに自分ごと化した内的制約に捉え直すことが必要で、この変換を促すものこそお二人が大事にされていた信頼関係を生む「場の心理的安全性」なのだと思いました。このストレスのかかる今こそ、破壊的なアイデアを生み出すために安心できる場の確保が必要だと考えられます。

 そして、こうした「安心できる場」から生まれた破壊的アイデアだからこそ、革新的(NEW)だけでは終わらずに、多くの人が乗りやすく広がりやすい、結果的に保守とも言える、当たり前(NORMAL)として受け入れられる、まさにニューノーマルなアイデアになりやすいのかもしれない、と思いました。

 全5回にわたってお届けした本連載も最終回となりました。連載開始から約半年が経ってもまだまだ社会は混沌を極め続けていますが、そんな中でも前向きに行動を起こそうとする人にとって、Disruptionが少しでもヒントになれば幸いです。ここまでお読みいただき、ありがとうございました。

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この記事の著者

田貝 雅和(タガイ マサカズ)

株式会社 TBWA HAKUHODO\Disruption®︎ Consulting\Disruption® Strategist

ITプラットフォーマー、デジタル・エージェンシーを経て現職。スタートアップからグローバル・ブランドまで、様々な規模・業界のクライアントにビジョン実現の支援を実施。「良い戦略は良い問...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

畑中 杏樹(ハタナカ アズキ)

フリーランスライター。広告・マーケティング系出版社の雑誌編集を経てフリーランスに。デジタルマーケティング、広告宣伝、SP分野を中心にWebや雑誌で執筆中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2020/11/18 08:00 https://markezine.jp/article/detail/34757

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