聴講者のお悩みにも回答
セッション終了後には登壇者への質問コーナーが設けられ、酒居氏、栗原氏がこれまでの経験を交えながら回答した。以下では質疑応答の一部をジャンルごとに紹介する。
マーケティング体制構築の悩み
【質問】一つのマーケティング組織が複数事業を担当する場合、優先順位を付けるのが難しく、時にはコンフリクトが起こることもあると思います。そのような組織体制だからこその悩みと、それをカバーする方法があれば教えてください。
【酒居氏による回答】確かに売上計画などを立てる際に、売上規模の大きいところにリソースを割くべきという考えが出てくることもありますが、私が大切にしているのはどの事業にも偏りがないフェアな姿勢です。同時に、オープンに情報を共有するようにしています。
ABMの実践における悩み
【質問】Tier企業をなかなか集めることができません。これまでに成功した集客施策、失敗した施策はありますか?
【酒居氏からの回答】Tier企業というのは、自分たちと相性の良い企業群のこと。そう考えると、まずは自分たちの解像度がどれだけ高いかが重要になります。そのあとで、どのような施策を行うかですが、たとえば私が過去に行った施策では、Tier2に該当する企業のリード獲得を狙いました。私たちがTier2と想定しているのは、「MarketoおよびPardotのMAを導入しているBtoB 企業」ですが、この層へのコンタクトが取りたいけれど取れないという状況でした。
そこで、Marketo ユーザーにターゲットを絞って、その人たちにとって魅力的なコンテンツをつくって届けることにしたんです。それにはマルケトさんの協力が欠かせないため、マルケトさん側にもメリットを提供できるかたちでなにかできないかと考えました。目を付けたのが、マルケトさんがロイヤルユーザーを表彰する場として作っている「マルケトチャンピオン」です。歴代のチャンピオンに登壇してもらい、高度な活用ノウハウやプロダクトへの愛を語ってもらう会をつくれないかと考え、「MCSS」というイベントのかたちで実現しました。結果的に多くの方にお越しいただけましたし、参加者全員が Tier2企業に属する方々なので、ターゲットアカウント比率は100%となりました。
ただその段階では、参加者はMarketoに興味がある方々ですが、我々のプロダクトに興味があるわけではありません。本当に重要なのはそこからで、イベント当日のインサイドセールスとの連携や、後日そのハウスリストに対して興味を持ってもらえるコンテンツが提供できるか、施策の連続性を生むことが大事です。
オウンドメディア運営の悩み
【質問】あまり整備されていないオウンドメディアの担当に任命されてしまいました。後発のBtoB 企業は何から着手すれば良いのでしょうか。
【栗原氏からの回答】どこか空いているポジションを探すというのが、ひとつのやり方だと思います。
当社は2年ほど前からBtoBマーケのコンサルに事業領域を振り切り、その頃からオウンドメディアを更新しているのですが、マーケティング業界ゆえに既に多くの企業がマーケティングに関する情報を発信していて、後から始めた私たちの発信がなかなか届かないという壁にぶつかりました。そのときにとった方法がまさにこれで、当時はまだ空いていたTwitterでの情報発信に力を入れるようにしたんです。今であれば、「LinkedIn」など新しいプラットフォームで試してみるのが一手かもしれません。
あとはやはり、他のメディアが発信していないものの、ユーザーにメリットがあるようなコンテンツを出していくのが良いかと思います。
【酒居氏からの回答】いまどういうコンテンツが見られていて、どういうプラットフォームに人が集まっているのか。それを知ることにヒントが潜んでいると思うので、アンテナを張っておくことが重要だと思います。