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新・女性のココロを動かすマーケティング術

もう「映え」ではない!Instagramが「コミュニティ」へ進化した理由

Instagramでコミュニティが形成される3つのポイント

 ではなぜInstagramの目的が、「映え」から「コミュニティ」へ進化したのか。影響を及ぼしていると考えられるInstagramの機能や文化について、解説します。

 

1.興味の限定がアカウントに世界観を生む

 まず、Instagramの「拡散されにくい」という特徴が、コミュニティ形成において重要なポイントになっています。

 Twitterは他人のリツイートやいいねした投稿が自分のタイムラインに多く表示され、フォロー外(自分の興味があるもの以外)の情報が目に入りやすい仕様です。拡散されやすく、幅広い意見に触れられるメリットがありますが、一方で「自分の好きなものだけを見る」というわけにはなかなかいきません(設定のカスタマイズである程度は可能)。

 一方、Instagramはフィードもストーリーズも広告以外は自分がフォローしたアカウントしか表示されないため、拡散力は劣るものの、基本的に興味のある情報に限定されています。加えて、検索タブのおすすめ欄は日頃の閲覧履歴に基づいて表示されるため、フォロー外の情報に触れる場合でも、自分の嗜好から大きく外れることがないのです。

 この「興味や嗜好を限定する」というクローズドな仕様+ビジュアル中心のコンテンツによって、アカウント内の世界観が構築されやすく、妄想がはかどる、という仕組みになっています。そうして妄想を膨らませる過程で、コミュニティに属している感覚が芽生えていくのではないでしょうか。基本的に自分の好きなものでつながっている世界のため、炎上しにくいというのも、コミュニティが形成されやすい理由の1つでしょう。

2.ハッシュタグでつながる文化

 以前より、Instagramではハッシュタグでつながる文化が浸透していました。「#料理好きな人とつながりたい」、「#お洒落さんとつながりたい」のようなビッグワードは、人気に火が付き始めた2016年頃から、今でも投稿数を伸ばし続けています。加えて、新しいハッシュタグも次々と誕生。ママの間では「#令和〇年ベビー」や「#〇ヶ月ベビー」といったものがわが子の年齢を表すものが人気で、「今まさに同じような状況の人とつながりたい、分かち合いたい」という思いがうかがえます。「#mamari」「#zexybayby」といった、メディア名をつけてユーザー同士がつながるのも、定番になっています。

 また、ハッシュタグ自体をフォローすることができるので、常に自分が興味のある分野から、新しい投稿やアカウントに出会える仕組みになっています。

3.様々な加工機能が会話のきっかけを量産

 ストーリーズを中心に、ユーザー間のコミュニケーションを活性化する機能も拡充され続けています。たとえば「アンケート」や「イベントスタンプ」、「ARフィルター」などがそうです。特別な出来事がなくても、少し加工するだけで投稿のきっかけが生まれます。

 また、ストーリーズはクイックアクション(投稿者にDMでスタンプを送る機能)を含め、気軽にクローズドなメッセージを送れるため、会話が始めやすくなっています。TikTokのような短尺動画編集機能を備えた「リール」も登場し、会話のバリエーションはより増えていくことでしょう。

 まとめると、Instagramで「コミュニティ」が形成されるポイントは、下記の3つとなります。

 1.興味の限定でアカウントに世界観が作られ、コミュニティ意識が生まれる。

 2.ハッシュタグ検索で似た感覚の持ち主がつながり、コミュニティが拡張していく。

 3.会話のネタになりやすい加工で投稿が促され、コミュニティが活性化していく。

 元々「コミュニティ」というワードは「地域共同体」という意味合いで、強い結びつきをイメージさせますが、Instagramのそれは非常にライトで、ゆるいつながりです。自分が好きな世界観で、好きな話題の時だけコミュニケーションがとれる。お互いが〇〇コミュニティ所属と表明しているわけでもありません。リアルなコミュニティよりも関係性が薄い分、自分の感覚に素直でいられる良さがあるともいえます。

 このゆるさからくる「適度な距離感」が、「映え」に代わるInstagramの価値なのではないでしょうか。

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消費行動に影響を及ぼす「コミュニティ活用」が鍵

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この記事の著者

佐藤 由紀奈(サトウ ユキナ)

トレンダーズ株式会社 コンテンツクリエイティブDiv.マネージャー。
WEBプロダクションのプランナーを経て、2014年より現職。
ソーシャルトレンドニュース編集部所属ライター、漫画PRサービス「Comitter」 のクリエイターとして幅広い企業のマーケティング支援を担当。「TT総研」の研究員として若年...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2020/12/07 09:00 https://markezine.jp/article/detail/34981

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