すぐに着手できるLTV向上のポイント
最後に染矢氏は、すぐに着手できるLTV向上のポイントを明かした。それは、LTV最大化の4つのポイントでも上げられた「『強み』の可視化」だ。これにより、成果を挙げた事例が複数紹介された。
その一つは、着物通販大手の「京都きもの市場」。同社はバイヤーが直接産地やメーカーに出向いて仕入れているのが特徴で、「このバイヤーだから買う」という消費行動が顕在化していた。そこで、自社の強みとして「バイヤー」というワードに着目。カテゴリーや店舗在庫ごとの検索機能に加え、「バイヤーから探す」機能を実装した。またバイヤーが発信するブログコンテンツを追加で発信。その結果、エンゲージメントやロイヤリティの向上にもつながった。
「機能としてはただの『商品検索』と思われるかもしれませんが、自社の強みを理解してそれを生かせると、少しの見せ方の違いで新たな体験を提供できます」(染矢氏)
もう一つの事例は、コープこうべとゆめみが行った強みの発見と機能の実装について。両社はまず、ワークショップによって、「安心/品質」「届ける」「計画購買」「商品数」などの強みを導き出し、それらの掛け合わせによってできることを探し出した。たとえば、「計画購買(その週頼んだものが次の週に届く)」と「商品数」を掛け合わせることで誕生したのが、献立サポート機能だ。これは、主婦のストレスとなる献立を考える時間をサポートする機能で、AIを駆使した商品提案を行うものだ。この機能実装により、商品販売の収益も向上した。
また、「協同」と「UGC」の掛け合わせにより、投票機能を実装。企画段階の商品や店頭POPへの投票をワンタップで可能にし、気軽に運営に参加できる体験を実現した。
染矢氏は「やみくもに機能を増やそうとするのではなく、価値は何か、強みは何かというキーワードから考えることで、機能アイデアが広がっていきます。結果的に、LTV向上にもつながるのではないでしょうか」と述べ、セッションを締めくくった。