アンケートリサーチで消費者インサイトを発見、訴求メッセージを見直し
――キッコーマンさんの課題に対し、VeleTでどのような提案を行ったのでしょうか。
新居:まず、弊社のご提案の方向性としては常に、定量と定性でしっかりと効果検証をするということを軸にしています。クライアント様ではよくある悩みですが、クリエイティブを作ることが目的になってしまい、次の施策に活かしづらいというお声をいただくことが多いです。今期で成果を残すことはもちろんですが、来期以降のマーケティングが最大化できる資産となるデータをお出しすることを大切にしています。キッコーマン様に対しても、「配信だけで終わらない」動画施策をご提案させていただきました。
――ターゲティングやクリエイティブの設計はどのように行っていったのでしょうか。
白須:リサーチ部門を中心にこれまでも、さまざまな調査をしていました。たとえば、「健康のために塩分を気にしていますか?」という質問には大半の人が「気になる」と回答するのですが、その中で、減塩しょうゆを使っているのは一部の人だけでした。
そこに対して、「味が薄いのではないか」「高血圧など特定の人向けのものではないか」といったネガティブなイメージを消費者に持たれているのかなという漠然とした仮説がありました。
しかし、いつでも新鮮 味わいリッチ減塩しょうゆは製法にこだわっており、「通常のしょうゆと比較して、そん色なく美味しい」という声をお客様からいただいております。このお客様からいただいた声を、より多くの消費者に伝達し、「少しでも減塩しょうゆを身近に感じてもらい、自分事化していただければ」と思い、クリエイティブを作っていきました。
伊藤:「減塩しょうゆは健康にいいですよ」というメッセージは実は言わなくても消費者は理解されているのかなと。それよりも、「今は、昔と違い、品質も向上し、特にいつでも新鮮 味わいリッチ減塩しょうゆは美味しいよ」とシンプルに伝えることで、ポジティブなイメージに変えたいなと考えました。
白須:動画制作前に100世帯でモニター調査を行いました。これまで減塩しょうゆを使っていないご家庭で、家族に内緒で、いつでも新鮮 味わいリッチ減塩しょうゆを試していただき、家族が気づくかを調べました。結果8割以上のご家庭で気づかれませんでした。また、減塩しょうゆに変えたことを家族に伝えても、97%のご家庭でポジティブに捉えていただけました。
そういった経験も踏まえてアルファアーキテクトさんにも、美味しさが伝わるようにかなりこだわって作りこんでいただきました。
スマホでの閲覧を想定したクリエイティブ制作
――具体的にはどのようなクリエイティブで、動画広告を展開していったのでしょうか。
伊藤:まずはいつでも新鮮 味わいリッチ減塩しょうゆを、つけたりかけたりする使い方からトライしてもらいたいと考えました。そこで刺身につけるシーンと唐揚げの上にのせた大根おろしにかけるシーンの2パターンのクリエイティブを作りました。
――アルファアーキテクトさんでは、動画制作においてこだわった点はありますか。
新居:スマホで見られるということをかなり意識しています。テロップの文字の大きさや、スマホだとミュートで見られることも多いので、今回は特に“音がなくても美味しそう”とユーザーに思ってもらえるようなシズル感が伝わるようにすることに気をつけました。
伊藤:私も何回かマス広告のクリエイティブを作ってきましたが、動画広告はけっこう勝手が違うことが新たな発見でした。紙媒体も音が出ないので、今回はグルメ雑誌などをひたすら見て研究しました。役者さんのオーディションにも立ち合い、監督さんには食べるシーンやしょうゆのかけ方もかなりこだわっていただきました。
――ターゲティングはどのように行われたのでしょうか。
新居:VeleTはアウトストリーム面への配信になっているので、ターゲティングという面ではとても効果的ですが、メディアのパワーとしては大型媒体(YouTubeなど)よりも小さいです。そこで、最初はVeleTでターゲティングの検証・クリエイティブのA/Bテストを行いました。その結果を踏まえて、メディア力のあるYouTubeとTVerでの配信へと拡大させました。