ターゲットが明確だからこそ「マス商品」で動画広告にチャレンジしたキッコーマン
――キッコーマンさんが、いつでも新鮮 味わいリッチ減塩しょうゆで動画広告施策に取り組んだ背景を教えてください。
伊藤:しょうゆは日常的に幅広い方々にお使いいただいている、マス的な商品です。しかし減塩しょうゆに関しては、健康感度が高い人向けで、ターゲティングが必要な商材でした。
そこで、従来はマス広告を中心に出稿してきましたが、「ターゲティングができるデジタルとの相性が良いのではないか」と仮説を立てました。その中で動画広告は、直感的に商品の価値を伝えやすいと思い、トライすることを決めました。
――動画施策をやっていく上で、VeleTを活用したのはなぜでしょうか。
伊藤:いろいろなパートナーさんにご相談したのですが、アルファアーキテクトさんは弊社の悩みや商品・プロモーションに対する思いをきちんとくみ取ってくれて、最適なプランを提案してくださいました。また、動画制作やアンケート調査など、施策のプランニングから効果検証までワンストップでやっていただけるところも魅力に感じました。
白須:施策検証時によくあるのが、配信結果が当初のシミュレーションより良かったか悪かったかという数字の話だけで終わってしまうことです。しかしVeleTは具体的に改善点が把握でき、次の施策にも活かしやすそうだったのが魅力でした。
アンケートリサーチで消費者インサイトを発見、訴求メッセージを見直し
――キッコーマンさんの課題に対し、VeleTでどのような提案を行ったのでしょうか。
新居:まず、弊社のご提案の方向性としては常に、定量と定性でしっかりと効果検証をするということを軸にしています。クライアント様ではよくある悩みですが、クリエイティブを作ることが目的になってしまい、次の施策に活かしづらいというお声をいただくことが多いです。今期で成果を残すことはもちろんですが、来期以降のマーケティングが最大化できる資産となるデータをお出しすることを大切にしています。キッコーマン様に対しても、「配信だけで終わらない」動画施策をご提案させていただきました。
――ターゲティングやクリエイティブの設計はどのように行っていったのでしょうか。
白須:リサーチ部門を中心にこれまでも、さまざまな調査をしていました。たとえば、「健康のために塩分を気にしていますか?」という質問には大半の人が「気になる」と回答するのですが、その中で、減塩しょうゆを使っているのは一部の人だけでした。
そこに対して、「味が薄いのではないか」「高血圧など特定の人向けのものではないか」といったネガティブなイメージを消費者に持たれているのかなという漠然とした仮説がありました。
しかし、いつでも新鮮 味わいリッチ減塩しょうゆは製法にこだわっており、「通常のしょうゆと比較して、そん色なく美味しい」という声をお客様からいただいております。このお客様からいただいた声を、より多くの消費者に伝達し、「少しでも減塩しょうゆを身近に感じてもらい、自分事化していただければ」と思い、クリエイティブを作っていきました。
伊藤:「減塩しょうゆは健康にいいですよ」というメッセージは実は言わなくても消費者は理解されているのかなと。それよりも、「今は、昔と違い、品質も向上し、特にいつでも新鮮 味わいリッチ減塩しょうゆは美味しいよ」とシンプルに伝えることで、ポジティブなイメージに変えたいなと考えました。
白須:動画制作前に100世帯でモニター調査を行いました。これまで減塩しょうゆを使っていないご家庭で、家族に内緒で、いつでも新鮮 味わいリッチ減塩しょうゆを試していただき、家族が気づくかを調べました。結果8割以上のご家庭で気づかれませんでした。また、減塩しょうゆに変えたことを家族に伝えても、97%のご家庭でポジティブに捉えていただけました。
そういった経験も踏まえてアルファアーキテクトさんにも、美味しさが伝わるようにかなりこだわって作りこんでいただきました。
スマホでの閲覧を想定したクリエイティブ制作
――具体的にはどのようなクリエイティブで、動画広告を展開していったのでしょうか。
伊藤:まずはいつでも新鮮 味わいリッチ減塩しょうゆを、つけたりかけたりする使い方からトライしてもらいたいと考えました。そこで刺身につけるシーンと唐揚げの上にのせた大根おろしにかけるシーンの2パターンのクリエイティブを作りました。
――アルファアーキテクトさんでは、動画制作においてこだわった点はありますか。
新居:スマホで見られるということをかなり意識しています。テロップの文字の大きさや、スマホだとミュートで見られることも多いので、今回は特に“音がなくても美味しそう”とユーザーに思ってもらえるようなシズル感が伝わるようにすることに気をつけました。
伊藤:私も何回かマス広告のクリエイティブを作ってきましたが、動画広告はけっこう勝手が違うことが新たな発見でした。紙媒体も音が出ないので、今回はグルメ雑誌などをひたすら見て研究しました。役者さんのオーディションにも立ち合い、監督さんには食べるシーンやしょうゆのかけ方もかなりこだわっていただきました。
――ターゲティングはどのように行われたのでしょうか。
新居:VeleTはアウトストリーム面への配信になっているので、ターゲティングという面ではとても効果的ですが、メディアのパワーとしては大型媒体(YouTubeなど)よりも小さいです。そこで、最初はVeleTでターゲティングの検証・クリエイティブのA/Bテストを行いました。その結果を踏まえて、メディア力のあるYouTubeとTVerでの配信へと拡大させました。
Web配信での動画広告完全視聴率が想定の約3倍と大幅達成に
――今回の施策で、どのような結果が得られましたか。
伊藤:事前のシミュレーションよりも非常に高い視聴率になりました。こんなに見てもらえるのかと驚くほどです。
今まで、弊社がデジタルの施策に取り組めなかった理由の一つとして、どれくらいの人にちゃんと届いているかわかりづらかったという点がありました。しかしここまで定量的に結果として出てきたので、今回の取り組みでデジタル施策が効果的だったことがわかり、とても良かったです。
白須:テレビCMと比べてかなり低コストで、伝えたいメッセージがきちんと伝えられたことは驚きでした。今回制作したWeb動画と既存のテレビ CMとのクリエイティブ比較調査もしていただきました。今回の目的は、「美味しさ」を伝えることでしたが、動画広告のほうが既存のテレビCMよりもメッセージが的確に伝わっているという結果でした。今回の結果は、Web広告だけにとどまらず、マス/店頭施策へ活かせると思っています。
新居:メッセージを明確にし、必要とされる人に対してきちんとターゲティングをして配信することで想定の約3倍の完全視聴率につながったと思います。今回の座組は、キッコーマンさんが一緒に改善するスタンスでいてくださったからこそ実現できた取り組みだと思います。
――今回の施策でどのような学びが得られましたか。
伊藤:今まで漠然と持っていた仮説が実証できたというのも大きな成果でした。美味しさを訴求したほうが消費者の気持ちを動かせるということについても、アンケートで検証していただけなので。我々が思っていた仮説が、定量的にも定性的にも結果として現れたというのは、今後のコミュニケーションのやり方を考える上で、非常に重要な情報になりました。
新居:クリエイティブを作る上で、データはとても重要だと思います。減塩しょうゆという商材特性を考えると「健康にいいですよ」というメッセージングが有効なのでは?というアイデアが浮かびがちですが、「ユーザーは美味しいものを求めている」というデータに基づいて考えることができたので、今回も「健康訴求ではなく美味しさを前面に訴求していこう」と振り切ることができました。
配信面でも、YouTubeなどは機械学習なので設定をしてしまえば自動最適化されますが、事前のターゲティングの設計により、きちんと競合と差をつけることが可能です。その際にもデータが活きるので、配信前にどれだけ情報を集めて整理できるかがすごく重要なところです。
動画広告をテレビCMや店頭購買にも展開させていく
――今後、動画マーケティングにはどのように取り組まれていきますか。
伊藤:しょうゆはマス商材なので、これからもマス広告の力が必要だと思っています。それだけでは伝えきれないことを一番伝えたい人にターゲティングをして届けることで、マス広告と動画広告をうまく使い分けて相乗効果を狙っていければと思っています。
白須:デジタル媒体を活用して効果検証をスピーディーに繰り返し、得られた結果をマス広告など他の媒体に展開していく取り組みを継続していけたらと思っています。動画広告を活用することで、配信(施策実施)と効果検証を同時に行えますし。
テレビCMの場合では、配信してその結果を判断して作り直すとなると、次は1年後とかになってしまいます。それが1ヵ月ほどでできるようになるので、リードタイムの短縮や精度・確度の向上にも動画広告は有用だと思います。
――テレビCM以外にも動画の活用の幅がありそうですね。
伊藤:店頭などにも有機的に施策がつながっていくと一番力が発揮できるかなと思います。店頭のデジタルサイネージで動画広告を使ったクリエイティブを流してみて、売り上げにどう貢献するのか検証したいと思っています。今後は、店頭の購買データと紐づけられるとより価値が出てくると期待しています。
新居:弊社としてもオフラインとオンラインの連携は力を入れている部分です。店頭で動画を見たユーザーが購買にいたったか否かというデータもちゃんと取れるようにこの1年ほどで整えていきたいと思っています。
今はそもそも自宅にテレビを設置していない人も増えてきたので、マスよりデジタル広告に使われる予算が多くなっています。O2Oプロモーションにおいても、デジタル施策で売り上げに貢献できることを証明していきたいですね。
アルファアーキテクト株式会社
担当:広報 藤坂嘉乃
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