日常の中に体験を溶け込ませる
――具体的には、どのようなアプローチをとったのでしょうか。
染矢:気づいたら運営に参加している」という体験です。「投票でTOUCH」という機能を新たに開発し、世代のバイアスがかからないよう匿名で投票とコメントができるコミュニティ機能を提供しました。たとえば、ユーザーはAとBどちらが良いかをアプリ内のボタンをタップするだけで商品開発(モニター商品選定)に参加でき、コープさん側は投票結果を店舗のPOPに活用することが可能です。
ヒント(2)日常の中に体験を溶け込ませる
また、「コープさん」と親しみを込めて呼んでいる組合員さんもいるなど、ブランドとの距離感が近いことも特徴のため、便利に使えることを押し出すだけではなく、人と会話をしているような温かみを感じる作りを大事にしています。宅配の注文機能にチャット型のUIを採用し、キャラクターと会話形式で買い物ができるのもその一環です。
お客様は機能的価値「だけ」では動かない
渡部:便利さだけではなく、情緒的な価値も意識されているのが素敵ですね。お客様は、基本的には機能的な価値、つまり「どれだけ便利でお得か」で動かれますが、それ「だけ」ではないはずです。機能的価値に加えて一つか二つ、情緒的な要素を提供することが、サービスを使ってもらう動機付けになるのではないでしょうか。
染矢:エゾカでもそういったつながりをとても大切にしていますよね。「コンサドーレエゾカ」の仕組みを知ったときとても良いなと思いました。
――コンサドーレエゾカ、とはどのようなものでしょうか?
渡部:このカードを利用して買い物すると、購入金額の0.5%がプロサッカーチームの北海道コンサドーレ札幌に還元されるというものです。コンサドーレエゾカで作りたかった体験は、エゾカを通じて、お客様にとって“非日常”であるプロスポーツを日常的に応援できるというものです。コンサドーレのホームゲームは2週間に1度しか行われませんし、遠方の人はそんなに頻繁に観に行けるものでもありません。しかし熱心なファンは多くいます。
染矢:日常の消費行動が、応援するチームを支えることにつながっているのが素敵です。
渡部:いわゆるポイントドネーションの仕組みとしては、他にも北海道胆振東部地震を受けて、余ったポイントを防災活動・被災地支援に役立てられる「BOSAI POINT」も開始しています。
ヒント(3)情緒的な価値も磨き込む