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MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

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MarkeZine Day 2025 Retail

定期誌『MarkeZine』特集

D2Cは、EC事業と何が異なるのか?

一方向から双方向の関係へ

――ECサイトに求められる役割も異なるのですね。

 はい、既存ブランドはECや店舗におけるゴールを「製品購入」に置いており、D2Cブランドは購入後の「体験と課題解決」を届けたいと考えている。そもそものサービスの軸が異なるので、役割も変わってきます。

 このサービス軸が異なるという例としてご紹介したいのが、日本のD2Cブランドの「FABRIC TOKYO」や「ALL YOURS」の取り組みです。彼らはカスタマーサポートチームだけではなく、カスタマー“サクセス”チームを持っているんです。このチームはカスタマーサクセス、つまり「自社製品を通して、顧客の課題を解決すること」を目標として動いており、各ブランドで具体的なアクションは異なりますが、購入後のユーザーに対するアウトバウンドコールでのヒアリングなどを行うことで、1:1の最適な応対・CRMや、時には製品やECサイトの改善につなげることをしているそうです。これは、既存のブランドにはなかった考え方ですし、取り組みですよね。

 また取っているデータやその使い方にも違いがあります。従来のブランドは購買データやWebの行動履歴などを、再度購入を促すために活用してきました。先程も述べた通り「一方向」の関係性だったのです。一方D2Cでは、チャットや電話などで都度ユーザーの声を聞き、製品やサービスをアップデートしたり、よりパーソナルなコミュニケーションをしたりと「双方向に影響するコミュニティ的な関係性」を築いています。たとえばFABRIC TOKYOで商品を購入すると、その直後に「何か不都合はなかったですか?」「ご意見ください」とポップアップが出てきます。画面遷移はなく、顧客が気軽にパパっとコメントができる仕組みです。従来であれば、顧客は商品が到着した後に何か不都合があればカスタマーサポートに問い合わせるという形でしたが、ECサイトでの購買に関わる違和感があれば感じた直後に記入してもらい、顧客の声を取り入れているのです。この仕組みは、既存のEC側の人間である私としてもすごく良いなと思っています。

 集めたデータは製品アップデートに使ったり、製品以外のサービスやコミュニケーションを改善していったりなど、使い方は企業によって異なります。ただ、大事なのはその根本に「顧客にもらったデータは、顧客のUX向上としてお返しする」という考えを持っている点です。

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ブランドの余白は大きすぎず、小さすぎず

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この記事の著者

福島 芽生(編集部)(フクシマ メイ)

MarkeZine副編集長。1993年生まれ、島根県出身。早稲田大学文学部を卒業後、書籍編集を経て翔泳社・MarkeZine編集部へ。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2021/02/25 08:30 https://markezine.jp/article/detail/35530

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