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リクルート「スタディサプリENGLISH」のCM開発【高速PDCA&調査ドリブンが生むメリットは?】


「スタディサプリENGLISH」のCM制作ステップを追体験!

 調査ドリブンCM開発を行うステップは以下の通りだ。

STEP0. 事前設計
STEP1. 訴求調査
STEP2. ビデオコンテ調査
STEP3. プレ調査
STEP4. 実放映

 まず各STEPに入るに行うSTEP0.事前設計では、検証スキーム全体の設計を行うために3C分析とマスプロモの仮説出しを行う。その上で、仮説を検証していくための指標を設定する。3C分析を行う上で特に丁寧に整理すべきポイントは、顧客のKBF(Key Buying Factor - 購買決定要因)と自社のユニークポイントだ。

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 「たとえば日常英会話学習者をターゲットに置くとする場合、デモグラは男女20~50代、ニーズは『楽しく学習したい』、課題としては『学習が続かない』、KBFとしては『続けられそう』など、過去のインタビューを参照したり、社内関係者と議論したりしながら、初期仮説としての顧客像を明確にしていきます。

 それに対し、自社として打ち出せるユニークポイントとして、『1回3分からのスキマ学習』という続けやすいUXが挙げられるのでは、と考えていきます。またこのタイミングで、最終的なCMのイメージも、たとえば『1回3分だから続く』など、考えておくことも重要です」(奥田氏)

 次に、上記の仮説を基に結果指標、先行指標、参考指標を設定し、事前検証の為の調査設問を設計する。テレビCMを見て「スタディサプリ」と検索して申し込みを行うケースが多いと想定した場合と、結果指標は、CVと売上が設定できる。さらに行動をさかのぼって、下図のようにセッション数を先行指標、調査での参考指標は有償利用意向を設定できる。ここまで決めることができれば、STEP1. 訴求調査へと進むことができる。

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コンセプトボードはマーケターが手を動かして作る

 次にSTEP1. 訴求調査に移る。下図は「スタディサプリENGLISH」のテレビCM開発において実際に利用されたコンセプトボードだ。訴求調査を行う上で、まずはコンセプトボードを図解するように作成し、それを用いて定性調査と定量調査をそれぞれ行う。

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 「まずマーケター自身が手を動かし、コピーや象徴となるイメージをポンチ絵として作成しましょう。それを基にデザイナーの方と議論し、伝わるか伝わらないかを確認しながら合計10枚程度のコンセプトボードを作成します。

 このコンセプトボード作成の着想は先程行った3C分析が活きてきます。今回の例では、顧客起点に学習の課題や教材選びの課題などを用いています」(奥田氏)

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 コンセプトボードを用いた定性調査は、大きく前半後半とパートを分けて行う。まず定性調査の前半では、まず顧客のプロフィールを聞いていく。加えて、英語サービスであれば、英語学習レベルや、具体的な学習における課題をヒアリング。想定するターゲットであるのか、後半パートでの口説き文句を想像しながら、見極める。後半では、実際にコンセプトボードをみせつつ態度変容がどこで起こるのか、徐々に訴求や説明を濃くしていく中で、どのタイミングで心が動かされているのかを観察していく。

 定量調査に関しては、同様のコンセプトボードを用いて、定性調査ではN=1だった顧客像の量的な検証を実施する。

 「定量調査では事前設計で設定した参考指標『有償利用意向』が抽出できるように設問を設定していきます。こちらのグラフでは、その中でも『利用したい』『やや利用したい』のスコアを足し上げて利用意向を集計しています。

 調査結果(下図)を確認いただくと、『A素材」や『C素材』という訴求が単体でも強いことがわかります。一方『B素材』訴求があまり良くないようにも見えますが、単体の要素として弱くとも、定性調査で好印象だった場合は取り下げずに、仮説次第で次に行うビデオコンテに盛り込むといった評価を行います」(奥田氏)

 訴求調査を定性と定量どちらの側面からも行うことによって、定量の数字に、定性的な判断軸や評価理由の意図が背景として補足され、効果的な訴求要素が分析できるようになる。それらを基に、実際に制作チームへオリエンし、静止画では検証できない演出観点も含めたビデオコンテ検証のステップに進めていく。

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調査結果と実放映結果のズレを解消するには

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この記事の著者

臼杵 優(ウスキ ユウ)

ビジネスやWebマーケティング、テクノロジーなど様々なWebメディアでの編集・執筆を経験。また、メディアでの執筆と並行し、企業の導入事例インタビューやオウンドメディア支援や運用を行っている。マーケティング業務に従事できる編集者として活動している。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2021/05/12 10:01 https://markezine.jp/article/detail/35682

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